ドクオサイド第三話

259 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 12:41:55.81 ID:8KNh3NPoO

リングで行われたのは、スパーリングと称された“暴行”であった。

ヨガ・ミッショネルズがドクオをリングに上げてから早くも十分が経とうとしていた。


トップとセカンドロープに腕を挟まれたドクオに、Tha・ルシムの拳が降り注ぐ。

ガッ…ガッ…ガッ……
ルシム「ヨガッ!ヨガッ!ヨガッ!!…………」

(').A`メ)「……………」



ドクオは抵抗する術も無く、ただ相手のストレスの捌け口となっていた。


こんな不条理な世界で、もはや抵抗する気すら起こらない。

どうせ殺るなら、早く楽にしてくれ。


ドクオは、あの負け犬の頃へと戻っていた。

260 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 12:50:26.07 ID:8KNh3NPoO

ザンギュラ「おい、Tha・ルシム……その辺にしないとヤバいぜぇ?」


あまりの惨状に、思わずザンギュラが止めに入る。
しかしTha・ルシムの凶行は終わらなかった。


Tha・ルシム「ヨガッ……
こんな程度で練習が終わるわけないヨガ。
これから、新必殺技の練習をする必要があるんだヨガッ」


そう言うと、Tha・ルシムは自らの腰ミノに手を入れ、股間の辺りをいじる。
そして現れた掌には、



ライターが握られていた。

264 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 13:09:27.50 ID:8KNh3NPoO

カチッ…カチッ…ボッ!!
ライターへと火が灯もる。
何をするつもりだ?
Tha・ルシムの希行に目を奪われたドクオの目前で、Tha・ルシムは更なる希行に走った。


T・ルシム「ヨーガ・フレイムッ!!」

ブゥォォォオ………
(゚).A゚メ;;)「ウワァァァァッッ!!!
熱っ!!熱っ!!!!」


身動きのとれないドクオの鼻先へ、息吹によって激しさを増した炎が吹きかかる。


ザンギュラ「おい、どうやら届いてないようだぜ?」

T・ルシム「ふむ、少し弱かったヨガ。次はもう少し強く……」

そして、Tha・ルシムは再び大きく息を吸い込む。

止めろ。止めてくれ。死にたくない……死にたくないんだ。

(;).A;メ;;)「……………死に……たく……ねぇよぉぉぉぉぉおおおあぁぁぁ!!!!!!!」


突如、会場が暗闇に包まれた。

ゴーーーーーーン……………

269 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 13:19:19.92 ID:8KNh3NPoO

ザワザワ…………

観客のどよめきながら、再び鐘の音が鳴り渡る。


ゴーーーーーーーーン……………


会場全体にスモークが漂う。 薄く蒼い光源によって照らされたリング上に、




先程まではいなかったハズの人間が立っていた。


ゴーーーーーーーン……………


ゴーーーーン……………


ゴーーン……


…………………

270 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 13:32:22.33 ID:8KNh3NPoO

暗闇が明ける。


そこに立っていたのは、黒い帽子に黒いロングコートを着た長身の人物だった。

ドクオからは背中しか見えなかったが、その全身から放たれる凄まじい闘気は並のものではないと、肌で感じていた。


コイツはヤバい。


リング上の全員が本能的に悟りとる。


ザンギュラ「オメェはいったいっ……」


いち早く怪人に近寄ったザンギュラが犠牲になった。


怪人の右手がザンギュラのノドを掴み、その巨体を持ち上げた。

273 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 13:40:18.86 ID:8KNh3NPoO

ザンギュラ「グッ……カッ………」


信じられない光景に、誰もが言葉を失った。

ザンギュラはNURUPOの中でも一、二を争う巨体の持ち主だ。
その男が今、片腕一本で吊されているのだから。


呆気にとられている相方を尻目に、怪人はそのまま片腕でザンギュラをリングへと叩き付ける。



ズドォォォォン!!!!!

ビリビリビリビリ………
足先に強烈な震動を感じる。
その技がいかに強い衝撃かが全身へ伝わってきた。

そしてドクオは、目の前の怪人の動きを瞬き一つせず睨みつけていた。

276 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 13:56:23.26 ID:8KNh3NPoO

Tha・ルシム「ザンギュラァァァァアアア!!!!!!!」


目の前で壊れた人形のように倒れた相棒の姿を見て、Tha・ルシムが怒りに震える。


T・ルシム「よくもやってくれたヨガッ!ヨガッ!ヨガッ!!!」


仲間の仇を撃たんと、怪人へと走り出すT・ルシム。
しかし、怪人はその想いまでも打ち砕いた。


走り来るT・ルシムの体を脇から抱えあげ、逆釣りのまま体の前で抱き締める。

そしてそのまま膝をつき、Tha・ルシムの脳天をリングへと突き刺した。

282 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 14:07:03.12 ID:8KNh3NPoO

ドクオは、観客は、眼前の光景に完璧に圧倒されていた。

NURUPOのタッグ王者の二人が、五分もしないうちに破壊されたのだから。


こいつは何者なんだ?


目の前の男を見据え、ドクオはひたすら考えていた。
そんなドクオの目の前に男の顔が迫ってくる。


(')A`;;)「フヒッ……」


ドクオの目をしっかと見つめ、男がゆっくりと口を開く。


??「………力が欲しいか?」

284 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 14:16:42.27 ID:8KNh3NPoO

(')A`;)「えっ……?」


突然の質問に戸惑うドクオに対し、男は構わず話続ける。


??「お前の目に、並々ならぬ力を感じた。

俺が鍛えれば、お前は間違いなく強くなる。

お前は生まれ変わるんだ」


『生まれ変わる』


何故かこの言葉に強く惹かれた。

俺は今のままでいいのか?
何かを変えようとしてたろう?

そうだ、

キングDQNを倒した時のように。

俺は男の目を見つめ、黙って頷いた。

285 名前:
1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/14(土) 14:22:22.43 ID:8KNh3NPoO

男は黙ってリングロープをほどいた。

ゲートへと向かう男の後ろを俺は付いて行く。


('A`)「なぁ、アンタは何者なんだ?」


墓堀人「『墓堀人』、とだけ名乗っておこう」




俺はその時、この男が嘗てワロスマスクやFOX★と死闘を繰り広げた伝説の男、
『ジ・オールドテイカー』

だということに気付いていなかった。


ドクオサイド〜二代目墓堀人誕生〜

第三話━Blurry Eyes━ 完


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