×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


第六話 エピローグ

446 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:27:57.15 ID:1lsW10yG0

===第六話 エピローグ===

内藤達がスレスト建設の社長を逃したと思って帰路についた頃、スレスト建設の社長、岸木重蔵は黒い国産車の中に居た。
ハンドルを握る岸木の喉には黒い靴跡がついている。
喉からは呼吸のたびに激痛が走る。

そう、彼はあのアジトの裏口で、一番最初に内藤に喉を蹴られ、失神した男だった。
筋肉質で大柄な体格のせいで若く見られがちだが、これでも既に76歳だ。

―――畜生、ジョルジュの野郎。組に迎えてやった恩を忘れて・・・・。

彼の脳裏に、人を食ったような態度をとる、細身の陽気な男の顔が浮かぶ。

―――まずはラウンジのコネを頼って逃げるしかない。

屈辱的だったが、今はそうする他はなかった。
ラウンジに逃げて力を蓄え、後ろ盾を得てからVIPに戻るしか、復讐の道は無い。

447 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:28:28.84 ID:1lsW10yG0

―――その折には喉に蹴りをくれた内藤とかいう男と、あのジョルジュも 血祭りにあげてやる。

意識が完全に自分の復讐劇という妄想に傾いているうちに、朝日が昇り始めていた。
こんな屈辱の汚泥に塗れた中でも、朝日だけは綺麗に上るのだな、と思ったその瞬間、目の前の交差点で、黒いオープンカーが横切ろうと飛び出 してきていた。
急いでブレーキをかける。
相手も驚いたのか、ブレーキをかけた。
黒いオープンカーの運転席と助手席に座った二人組だった。

岸木「何処見て走ってやがるんだ!!!!!」

運転から意識を逸らしていたのも信号無視をしようとしたのも自分の方なのだが、そんな小さな事に構っていられるだけの精神的余裕は無い。
今はともかく目の前のオープンカーの連中に怒りをぶつけて、なんとか自尊心を満足させたかった。
岸木の怒鳴り声に反応してか、オープンカーに乗っていた二人の男のうち、一人が降りてくる。

459 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:39:42.33 ID:1lsW10yG0

( ´_ゝ`)「おい、弟者。こんな朝っぱらからチンピラに絡まれた ぞ。流石VIPだな。これがVIPクオリティーというヤツか。」

(´<_`  )「まあ、ここ十年ほどで急速に発展して、人口も増えたからな。俺達みたいな家業の人間も増えたんだろう。」

車から降りてきた男の台詞に、車に乗ったまま何かの書類を眺める男が返事を返す。

岸木「あ?てめぇら俺が誰だかわかってんのか!!!!」

岸木は懐から銃を取り出す。

( ´_ゝ`)「おお、このチンピラ、チンピラの癖にチャカ持ってるぞ。さすがVIP。なんでもありだな。」

確かに、今の岸木の格好は薄汚れていてチンピラ以外には見えない。
それも、争いに負けて泥だらけになった負け犬の。

岸木「てめえ!!!俺をナメんじゃねーぞ!!!!」

岸木は容赦なく引き金を引いた。
負けたとはいえ、元は一つの組の親分だったのだ。
こんなガキどもにナメられたままにしておくわけにはいかない。
彼の自尊心が、矜持が許さない。

461 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:42:19.21 ID:1lsW10yG0

だが、何時までたっても銃弾は発射されなかった。

岸木「な・・・・・・ッ!!」

何時の間にか自分の目の前、銃口に触れるような至近距離に男が立っていた。
何度も指を動かすが、銃弾は一向に発射されない。
そこで岸木は視線を男から自らの手元に移して、二つの事に気がついた。

一つは、男の腕が何時の間にか抜いた、全長70センチほどの細身の長ドスを握っている事。
二つ目は、その長ドスの切っ先が、銃の引き金の周りにある指を通すための部分に差し込まれ、岸木の指を切り落としている事。

気づいた瞬間、岸木の指を灼熱感と共に激痛が襲った。
恥も外聞もなく悲鳴を上げる。

( ´_ゝ`)「おまえ、運がいいな。今日はいい朝日が見れたから殺さないでおいてやるよ。」

(´<_`  )「ん、兄者。そいつの顔、リストにあるぞ。」

突然オープンカーの助手席で書類をめくっていた男が声をかけた。

( ´_ゝ`)「ああ、マジか。」

(´<_`  )「ああ、スレスト建設の社長さんだそうだ。」

462 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:42:49.96 ID:1lsW10yG0

そんな軽い謝罪と共に。男は指を押さえて転がりまわる岸木の背を踏みつ け、動きを止めたところに長ドスを差し込む。
男がさらに大きな悲鳴を上げる。

(´<_`  )「兄者、始末するならさっさとしてくれ。うるさくてかなわん。」

( ´_ゝ`)「すまん。おかしいな、ここが急所だと聞いていたのだが。刺してもまだ生きてるぞ。ここか?」

男はさらに長ドスを振り上げて、岸木の背骨のあるあたりに無理矢理差し込む。

(´<_`  )「兄者、それはどう見ても背骨だ。そんなところにツボやら急所は無い。落ち着け。」

男の背骨が長ドスで分断され、男は下半身を動かす事が出来なくなる。
あまりの激痛に、声は出ない。

( ´_ゝ`)「むぅ・・・、これだから人間の体ってヤツは不思議だ。」

(´<_`  )「俺はむしろ兄者の頭の中の方が不思議なのだが。」


465 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:43:56.75 ID:1lsW10yG0

二十分後、体中を刃物で刺された男の死体が、朝を迎えたばかりのVIP の郊外で発見された。

( ´_ゝ`)「結局、急所は見つからずじまいか・・・。」

黒いオープンカーの運転席に座った男が残念そうにぼやく。

( ´_ゝ`)「なあ、弟者よ、そろそろ運転変わってくれ。」

(´<_`  )「VIPに来るときはずっと俺が運転しただろう。もう少し兄者が運転しろ。」

( ´_ゝ`)「・・・・・・。しかし、流石VIPは噂どおり、えらいところだな。入境して四日目でこれだ。」

(´<_`  )「で、四日も経つのにうちの組員と未だに合流できてないわけだが。」

(;´_ゝ`)「・・・スマンかった、弟者。詳しい合流場所を決めていなかった俺の責任だ。だから今にも俺を蹴らんばかりに足をあげるのは やめてくれ。」

VIPに二人の兄弟が入境した。
全てを手に入れ、
全てを巻き込み、
全てと共に燃え尽きるために。


第六話 後付 Kill me like a crazy・完


戻る 進む