第十話
260 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/09(月) 23:34:18.21 ID:sEd2mVwRO
━VIPホール━
今日の『WAROSU』はここ、VIPホールで行われる。
僕は早々と到着し、ジェネラルマネージャーの元へと挨拶に行った。
ジェネラルマネージャー(以下GM)とは、会長である荒巻さんの下に位置付けされるプロモーターの役割を果たす役職だ。
番組内ではGMの命令が絶対であり、要求に答えない者は容赦なく切り捨てていく。
強者に従わなければならないのはどこでも一緒だな。
そんな事を考えながら、僕はGM室の扉をノックした。
コンコン……
??「入ってるモナー」
262 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 23:47:17.14 ID:sEd2mVwRO
ガチャッ…
( ^ω^)「失礼しますお、本日からデビューさせていただく内藤ホライゾンと申しますだお」
豪華な回転椅子をこちらに向けて、GMは僕の顔を見据えた。
( ´∀`)「よく来たモナ。
私がこの『WAROSU』のGMを務めているモナーだモナ」
人当たりの柔らかい人だ。 これなら当分嫌な思いを受ける事はないだろう。
( ´∀`)「さて、君の初仕事だが……
いきなり大きな試合に使うわけにはいかないモナ。
それは分かるモナね?」
もちろん分かっている。
新入りが入団当初から目立った活躍をするわけにはいかないのだ。
( ^ω^)「もちろんですだお」
263 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 23:53:07.01 ID:sEd2mVwRO
( ´∀`)「君は物分かりがいいモナ。
という訳で、君には今から前座試合を努めてもらうモナ。
分かったらさっさと準備をして会場を暖めてくるモナ」
( ;^ω^)「ちょwwwww今すぐとかwwwwムリスwwwww」
( #´∀`)「ガタガタ言ってないで、さっさと準備するモナ!! お給料あげないモナよ!!」
( ;^ω^)「ハヒッ!!
行ってきますお!!」
ガチャンッ!!
ダダダダダダ………
前言撤回だ、僕はまだまだ人を見る目がない。
266 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 23:58:51.35 ID:sEd2mVwRO
控室で準備を済ませた僕は急いで入場口へ急いだ。
建物の地図を見ながら来たので、時間がギリギリでスタッフに急かされる。
結局僕は対戦相手の名前すら知らないままリングに上がるのか。
まぁ、いいさ。
どうせ誰の名前も分からないんだし。
僕は気楽に構えると、リングへと向かった。
270 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:04:15.93 ID:+7sHe5VRO
ダダダダダダ…………
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ブーーーーン!!!!
勢いよくブーンしながら飛び出した僕の目に写ったもの。
それは地方では見たことも無い広大な客席と、爛々と輝くスポットライト。
あまりの違いに、僕はテンパってしまい…………
コケた。
ズベッ…ゴンッ!!
( *ω*)「アウ…アウ…」
273 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:12:01.87 ID:+7sHe5VRO
しかしこれが意外と客席にウケたようだ。
あちこちからカワイイとの声も聞こえる。
( ;^ω^)「(ケガの功名ってヤツかお………)」
僕は気をとりなおし、リングへとブーンする。
⊂二二二( ^ω^)二二⊃
ブーーーーーン!!!!
ワッ………!!!!
妙な歓声が起こる。
奇抜な選手やキャラが立った選手は自然と人気がでるものだが、
どうやらここでは素の内藤のキャラが受け入れられたようだ。
( ^ω^)「(これって……………)」
( *^ω^)「(かなり気持ちいお!!!)」
276 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:20:56.18 ID:+7sHe5VRO
内藤は内心ハッキリと確信していた。
『これはきた』
と。
その証拠に客席はみんな、ブーンを応援している。
ブーンがチョップを放つ。
ピシッ!! 『ブゥーン!』
ブーンがキックをかます。
ドカッ! 『ブゥーン!』
動作の1つ1つに固有の声援が入ると、客は大いに盛り上がる。
この場合は最初のコケで、内藤の天然さに好印象を持たれたことと、
覚えやすい名前が影響したのだろう。
いずれにせよ、内藤は初日から大きなチャンスを掴んでいた。
278 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:29:12.46 ID:+7sHe5VRO
相手が右手を伸ばし、こちらに突っ込んでくる。
内藤には相手の動きが良く見えていた。
( ;^ω^)「スキありだお!!」
伸ばした手を頭を下げて避け、そのまま反対のロープへと走り反動をつける。
相手が内藤の姿を追い、振り返った瞬間を逃さなかった。
⊂二二二( ^ω^)「だぁぁぁぁあっ!!!」
ドガァッ!!!!
力の限りにホライゾンラリアットを叩き込む。
そして僕は倒れた相手の位置を確認し、コーナーへと走る。
お客さんの歓声が聞こえる。 まるで嵐のようだ…………
そして僕は相手へと
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ブーーーーン!!!!
ダイブする。
279 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:34:37.09 ID:+7sHe5VRO
『1…2……3!!!』
カンカンカンカン!!!!!
決まった………。
僕のVWFデビュー戦は初勝利で飾れた。
観客の声援が身に染みる。初めて味わう中央の歓声は、今までとは比べ物にならないくらいの充実感を与えてくれた。
頑張った自分へのご褒美として、今日はうまい棒を箱買いしよう。
そんな下らないことを思いつつ、僕はデビュー戦のリングを後にした。
第十話━STORM━ 完
284 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 00:42:28.37 ID:+7sHe5VRO
内藤ホライゾン
(ブーン)○━●(ナナシノ・ドンベェ)
試合時間8分32秒
ホライゾンラリアット→ブーンサルトプレス
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