第十二話
400 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/10(火) 22:07:38.88 ID:+7sHe5VRO
僕が前座でデビューを飾ってから、早くも三ヶ月が経った。
僕はジョルジュと行動を共にするようになり、この世界のノウハウをイロイロ叩き込んでもらった。
観衆へのアピールは派手過ぎず、冷静過ぎず。
客にしっかりと自分を印象付けるものにするべし。
試合をすぐに終わらせるのは構わない。
しかし、客は高い金を払って夢を見に来るんだ。
なら長く夢を見させてやるのがプロってもんだろ?
などなど。
ジョルジュの話はためになることばかりだった。
そのおかげか、僕は前座枠にして既に人気を確立し、三ヶ月目に初の『WAROSU』の試合を任されることになった。
403 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 22:23:04.87 ID:+7sHe5VRO
(
´∀`)「というわけで、君の実力を試す期間は終わったようだモナ。
来週からは、本格的に『WAROSU』で試合を組んであげるモナ」
この言葉が聞きたくて、僕は三ヶ月間ガムシャラに頑張ってきたんだ。
そう思うと、何かグッと込み上げてくるものがある。
( ´∀`)「フム、嬉しそうモナね。
今の気分はどうモナ?」
( ^ω^)「あっ……えと………
感慨深いというか……何か込み上げてくるものがありますだお」
( ´∀`)σ「気持ちが悪いモナか?
ひょっとしたらオメデタモナかwwww」
)#^ω^) ビキビキ……「モナーさん、僕は男ですだお」
( ´∀`)「把握してるモナ、軽いジョークだから許すがよいモナ」
人がせっかく感慨に浸っている時に……
バーロー
405 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 22:37:06.05 ID:+7sHe5VRO
控室に戻ると、ジョルジュが待っていて祝福してくれた。
( ゚∀゚)「これで来週から、お前も俺たちと対等の立場だな。
またライバルが一人増えたってことだ」
そう、この世界は弱肉強食。 どんな王者も明日タイトルを落とすかもしれない。
その相手が新人であるかもしれない。
あの無敗の王者と詠われたFOXでさえ、ワロスマスクに負けたんだ。
この世界はチャンスを掴んだ者勝ちだ。
そうやって決意を固めていた僕に、ジョルジュが大事なことを思い出させた。
( ゚∀゚)「なぁ、ところで内藤はどういう入場がしたいんだ?」
409 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 22:46:13.91 ID:+7sHe5VRO
そうだった。
肝心なことを忘れていた。
この世界では入場も大きく人気に関係する。
ただ派手に光源や火薬で飾れば良いだけじゃない、
入場から゙自分゙というものを押し出していかないと、客からは受け入れてもらえないのだ。
(; ゚∀゚)「お前のことだから、忘れてたな…
どうするんだ?早いところスタッフと打ち合わせをしないと、時間が足りないぞ?」
ジョルジュの言葉を全て聞き終わる前に、僕は外へと飛び出していた。
413 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 23:08:52.02 ID:+7sHe5VRO
━新☆堂━
僕は真っ直ぐにCDショップへと走って行った。
ジョルジュに自分のキャラを表現する曲と言われてから、
僕の頭の中にばアノ曲゙しか無かった。
キョロキョロ………
( ^ω^)「(ま…ま…マイケル…マッケンロー……
確かこの辺に………)
ガッ……
僕はある一枚を掴みレジへと持っていく。
そして帰り道では、ずっと入場のイメージをしていた。
この曲に乗せて、僕が観客の前に姿を表す場面を……
420 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 23:15:50.90 ID:+7sHe5VRO
月曜日
ついに僕の『WAROSU』本デビューの日が来た。
ついに僕がテレビに映るんだ。
朝からドキドキしっぱなしで、隣のジョルジュの声も耳に入っていなかった。
( ゚∀゚)「おい、内藤!!
聞いてるのか?」
( ^ω^)「あっ、ゴメス。
もう一度頼むお」
( ゚∀゚)「しょうがねぇな……
お前、入場の方は大丈夫なのか?」
僕はジョルジュの問いに答える代わりに、不敵な微笑を浮かべてやった。
そしてたった一言、
( ^ω^)「テレビの前から離れるなお」
422 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 23:31:30.10 ID:+7sHe5VRO
控室を出ていく内藤の背をジョルジュは眺めていた。
( ゚∀゚)「(テレビの前から離れるなだと?
おもしれぇ…見届けてやろうじゃねぇか)」
そしてジョルジュはテレビ前に腰を据えチャンネルを合わす。
( ゚∀゚)「(えーっと……次、次、おっ、女だらけの水泳大会…………)」
(* ゚∀゚)o彡「おっぱい! おっpp……」
(; ゚∀゚)「(こんなことをしてる場合じゃなかった。
えーっと…よし、このチャンネルだ)」
ジョルジュが余計な事をしている間に、もう内藤の相手である『ペニシリン・ジャンキー』は入場を済ませていた。
(; ゚∀゚)「(危ねぇ危ねぇ……
さて、次はいよいよ内藤か……………)」
会場の照明が薄暗くなる。
427 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 23:46:02.65 ID:+7sHe5VRO
デレレレッテッテ♪ デデッデデッ♪
テレレテレレテレレ ダ・ダ・ダッ!!
光る風を追い越したら〜 君にきっと逢えるね〜♪
あたらしい輝き HAPPY READY GO !!
ボォーーーーン!!!!!!
爆発と共に、ゲートの下にあるカタパルトから内藤が飛び出して来た。
シュタッ……
⊂二二( ^ω^)二⊃「(決まったお………)」
ガタンッ!!!!
(; ゚∀゚)「何やってんだバーロー!!」
思わずテレビの前でジョルジュは叫んでいた。
まさかデビュー戦の新人が、こんなに目立った入場をするとは……
テーレレー♪ テーレレー♪
( *^ω^)「(うはwwwwwwテラキモチヨスwwwwww
これはクセになるおwwwwwww)」
429 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/10(火) 23:55:31.01 ID:+7sHe5VRO
テテッ・テテッ・テテッ…
⊂二二二( *^ω^)二二⊃ ブーーーーーン!!!!
一頻りゲートでアピールをすると、僕はリングへとブーンをした。
リングまでの道には、スタッフさんに頼んでスモークを焚いてもらっている。
白い煙の中を切り裂きながら、僕はリングへと向かって行った。
(; ゚∀゚)「ったく………本当に大した奴だぜ。
まっ、結果は成功のようだがな」
ジョルジュはモニター越しからでも分かった。
一瞬、あまりのインパクトに戸惑いを感じていたものの、
すぐにその派手さと奇抜さに歓声を送っていた。
( ゚∀゚)「(コイツは大物になるな……)」
モニター越しに独り確信を持つジョルジュであった。
433 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/11(水) 00:11:52.00 ID:Q+G7B0acO
既に入場からペニシリン・ジャンキーは圧倒されていた。
もともとビジュアル系の容姿で、髪を振り乱しながらの入場で話題を拐ったレスラーの彼。
ペニジャン「俺の中でのプロレスは、入場9:試合1だから」
とは本人の弁だが、その彼が初めて自分を上回る入場を目にしたのだ。
ペニジャン「(コイツッ…俺よりっ…スゲェ…っ……)」
その時点で彼の闘志は既に萎えていた。
カーン!!!!
遠くで鐘の音が聞こえる。しかしペニシリン・ジャンキーは動こうとはしなかった。
向こうからブーンが走ってくる。
背後を取られ、股下に手を伸ばされた。 そのまま後ろに体を取られカウントかま入る。
1……2………3………
カンカンカンカン…………
あぁ、俺の敗けだ。 完敗だよ………
1から出直しだ………
ペニシリン・ジャンキーは心の中で呟き、ひっそりと退場して行った。
441 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/11(水) 00:24:58.57 ID:Q+G7B0acO
僕は状況が把握出来ずにいた。
何が起こったんだ?
試合開始と同時に、僕はスクールボーイを仕掛けにいった。
スクールボーイとは、
こんな技スクールボーイ(学生)でも返せるぜ!!
というくらい単純なレベルな技であり、僕自身もこれで決めようとは思わなかった。
それが決まってしまったのだ。
どうしたんだ? ペニシリン・ジャンキーは学生以下なのか?
そんなことを考えていると、レフェリーがやってきて僕の手を挙げる。
リングアナが僕の名前をコールし、ハピマテが流れる。 客席からは歓声が起っていた。
ようやく僕は自分が勝ったのだと実感が湧いた。
そして勝利のアピールをするために、コーナーポストへ昇り………
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ 「デビュー戦………勝ったおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!!!!」
腹の底から勝利を叫んだ。
第十二話━ロマンス━ 完
443 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/11(水) 00:27:27.13 ID:Q+G7B0acO
内藤ホライゾン
(ブーン)○━●(ペニシリン・ジャンキー)
WAROSUデビュー戦
試合時間 6秒
スクールボーイ
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