第十六話
702 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/11(水) 23:50:01.67 ID:Q+G7B0acO
試合は終わった。
誰もが予想だにしない結末で、だ。
僕達は負けた。
707 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/11(水) 23:59:23.34 ID:Q+G7B0acO
試合も佳境に差し掛かった時だった。
D・HIPがペニジャンをレフェリーめがけ衝突させる。
そこでスキが生まれたDHへと、ジョルジュがπ・バスターを放った直後だった。
A・CHESTがジョルジュの背中にイスの一撃を入れる。
悶絶し倒れるジョルジュが視界に入りながらも、僕はACへと向かった。
するとACが僕へとイスを放り投げる。
僕は慌ててイスを掴み、ACを見据えた。
708 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:06:20.15 ID:FDghJ5JLO
しかし、目の前にACの姿は無かった。
どこに行ったのかリング上を見渡すと、
よたよたと立ち上がるレフェリーの前に倒れていた。
いや、倒れだフリ゙をしていた。 それがACの作戦だとは気付かずに、僕は側へと近寄って行く。
その時だった。
カンカンカンカン………!!!
試合終了のゴングが鳴り響く。 僕は事態が把握出来ずレフェリーに詰め寄る。
( #^ω^)「いったい何をしてるんだお!?
何で試合を止めたんだお!?」
レフェリーは僕へと二言三言言葉を紡ぐ。
「ブーンはイスによりACを殴打した。
その結果、お前達に反則を取ったまでだ」と。
710 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:13:39.27 ID:FDghJ5JLO
( #^ω^)「なっ……イスを使ったのはACの方だお!!
反則を取るならBBSの方だお!!!」
レフェリーの背後にいるACへ目をやると、ニヤニヤと勝ち誇った微笑を浮かべている。
どこまでも腐った野郎だ。
「私はその瞬間を見ていなかった!!
私が見たのは、君に殴られ倒れ込むACの姿だけだ!!」
レフェリーが振り返ると、再び目を閉じ倒れ込むAC。
怒りが込みあげてくる。
レフェリーが一度下した結果は絶対だ。
覆されることは絶対に無い。
僕はジョルジュとペニジャンへの申し訳なさのあまりに、その場へ崩れ落ちた。
714 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:25:01.97 ID:FDghJ5JLO
僕はジョルジュとペニジャンを抱き起こし、控室と戻って行った。
ゲートまでの道のりで、僕達の背に拍手が聞こえる。
悔し涙がボロボロと溢れ落ちた。
ゴメン。ゴメンよジョルジュ、ペニジャン。
僕がもっと冷静に行動していたら。
僕がアイツらの計略にはまらなければ、今頃はリング上で祝福されていたのに。
( ;ω;)「(本当に……ゴメ……なさい…)」
718 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:29:18.27 ID:FDghJ5JLO
その翌日、僕達はGM室へ呼び出された。
三人とも電話口で男の声に呼び出されたと言う。
本当なら、モナーの顔すら見たくない。
しかし僕達は行かなければならなかった。
この仕事を続けていたいから……。
(; ゚∀゚)「はぁ……気が重いぜ」
( ;^ω^)「………だけど、行くしかないんだお」
僕はGM室の前に立ち、いつものようにノックをする。
コンコン……
??「おう!! ガキ共来やがったか、さっさと入りやがれ!!」
室内からの声は、いつもとは違った。
719 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:35:10.20 ID:FDghJ5JLO
ガチャッ……
( ;^ω^)「失礼しま………………
アラマキさん!?」
/,' 3「おう、やっと来たな」
(; ゚∀゚)「ゲッ!!てっ……『鉄のツメのアラマキ』なのか!?」
ペニジャン「まさか……本物なの……かっ?」
話を経験したことのある僕でさえこれだ、初対面のジョルジュやペニジャンには、とても衝撃的だろう。
720 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:39:13.36 ID:FDghJ5JLO
/,' 3「どうやらお前達、色々やらかしてようだな?」
言葉も出なかった。
もしかしてGMに歯向かった僕達を、会長自らクビにするのだろうか。
僕達がした行動は、取り返しがつかない事なのか?
だがアラマキさんの口からは驚くべき言葉が出てきた。
/,' 3「お前達、昨日の結果に納得しているか?」
721 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:47:32.72 ID:FDghJ5JLO
( ;^ω^)「えっ…」
思わず空気が漏れたような奇妙な声が出た。
そんな僕に、容赦なくアラマキさんの叱咤が飛んでくる。
/,゚ 3「お前達は昨日の結果で満足か?って聞いてんだよ、さっさと答えろぉ!!!」
( ;^ω^)「ハヒィッ!! 満足してませんだお!!」
(; ゚∀゚)「オスっ!! 満足してないッス!!」
ペニジャン「ハイっ!! 満足してないす」
三人同時に返答した。
アラマキさんが満足そうに口を開く。
/,' 3「フム、いいだろう」
/,' 3「お前達全員にチャンスをくれてやる。
しっかり掴みやがれ」
729 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 00:58:03.77 ID:FDghJ5JLO
゙チャンズ、確かにアラマキさんはそう言った。
間発入れずに、アラマキさんは話し続ける。
/,' 3「いいか、まずお前達全員に、次回の特番で復讐の機会を与える。
サシでやらしてやるから、思う存分ウサを晴らせ」
復讐。
思わず躯が熱くなる。
しかし次の特番まで二ヶ月近くある。
そんなに僕達を我慢させるつもりなのか。
/,' 3「ただ次回の特番までは、時間がかなり空く。
そこでだ。
お前達全員に、今までのマイナス分を消すためのチャンスもやろう」
740 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:15:46.07 ID:FDghJ5JLO
/,' 3「ジョルジュ長岡、お前はこの団体に来てもう長い。
そこでν速王座への挑戦権を与えてやる」
( ゚∀゚)「ちょwwwマジっすか!?」
ν速王座というのは、VWF世界王座に次ぐ権力のタイトルだ。
このタイトルを取った者は、自然とVWF王座への道が開けていく。
一年間タイトルに縁が無かったジョルジュには、願ってもない話だろう。
742 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:16:11.45 ID:FDghJ5JLO
/,' 3「次だ、ペニシリン・ジャンキー。
お前には、人気V系歌手に曲作りを依頼してきた。
お前が心から求める入場を作りあげろ」
ペニジャン「あっ……ありがとうございます!!」
入場に力を入れているペニジャンにとっては、ある意味タイトルより嬉しいことかも知れない。
743 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:16:47.05 ID:FDghJ5JLO
/,' 3「さて、最後に内藤ホライゾンだが……」
ついにきた。 僕にはいったい何がくるのだろう。
胸ね鼓動が抑えられない、自然と呼吸が早くなる。
/,' 3「こいつの方から説明してもらおう。
オイ、入ってこい」
ガチャッ……
ドアが開き、一人の女性が入ってきた。
ξ゚听)ξ「失礼します」
757 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:26:38.97 ID:FDghJ5JLO
ξ゚听)ξ「どうも、新しく『WAROSU』のGMを勤めることにな
りました。
ツン・D・レイトナイトです。
今後ともよろしくお願いします」
新しいGMだって?
モナーはどうしたんだ?
僕が聞くより早く、ジョルジュが口を開いた。
(; ゚∀゚)「新GMって……モナーのクソ野郎はどうしたんだ?」
/,゚ 3「ん?あぁ……まぁ、ちょっと…な」
僕はアラマキさんの右の拳が、何かを掴むような動作を見逃さなかった。
おそらくモナーはアラマキ・クローの餌食になった筈だ。
モナーがどうなったか、想像するだけで寒気がする。
その時ツンが話に割って入ってきた。
ξ゚听)ξ「さて、ブーン。
あなたの本題に入りましょう」
762 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:35:04.55 ID:FDghJ5JLO
いよいよだ。 室内に緊張の糸が張り詰める。
ξ゚听)ξ「私がGMとして行う初仕事、
『VIPスレッド王座』
の新設に当たり、あなたには王座トーナメントに参加してもらいます」
トーナメントへの参加、それはつまり僕に王座獲得へのチャンスが与えられたわけだ。
ペニジャン「内藤、やったじゃないか!!」
( ゚∀゚)「うまく行けば俺達はチャンプのまま、リベンジが果たせるわけだな!!!」
/,' 3「まっ、そういうこった。
期待してるぜ、やんちゃ坊主共」
そう言うと、アラマキさんは部屋を出ていった。
やっぱりスケールの大きい人だと、僕は改めて実感した。
763 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:42:23.24 ID:FDghJ5JLO
ξ゚听)ξ「さて、私はブーンに、トーナメントの件で話があります。
他の二人は退室して下さい」
ペニジャン「だ、そうだ。
俺達は先に行ってるぜ」
( ゚∀゚)「内藤!!一緒に頑張ろうな!!」
そして二人も部屋を出て行き、部屋には僕とツンだけになった。
ξ゚听)ξ「それではブーン………」
( ;^ω^)「その前に、何でツンは僕を本名じゃなくて、リングネームで呼ぶんだお?
違和感ありまくりんぐwwwww」
ξ゚听)ξ「私はレスラーと職業上の上だけの付き合いと決めてあります。
プライベートと一線を引く意味でも、選手のことはリングネームで呼ぶようにしているのです。
質問は以上ですか?」
( ;^ω^)「はい…だお……」
ξ゚听)ξ「よろしい、では本題に入ります」
766 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/12(木) 01:51:59.08 ID:FDghJ5JLO
ツンの説明は一時間にも渡った。
ツンによるとVIPスレッド王座というのは
・トーナメント形式で試合を進めていく。
・参加選手は僕と、゙この゙スレッド内の人による人気投票の上位五名。
・僕と、人気一位の選手はシード選手である。
とのことだ。
話が長かったので、いくつか抜けてることもあるかもしれないが、まぁ何とかなるだろう。
僕は今、タイトル保持者というポジションが近くなったことで、心がいっぱいだった。
ブーンというのは小さい頃のあだ名で、ツンに呼ばれる度に妙な胸騒ぎがすることすら忘れていた。
第十六話━BEAUTIFUL DREAMER━ 完
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