第二話

56 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/08(日) 02:34:55.08 ID:YaZxnwwxO

「このバッカモンどもがぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!!」


プロモーターの怒鳴り声が応接室に響いた。
勝利の余韻に浸れたのも束の間、僕とドクオは控室の連中に拘束され、ここに連れこまれた。


「お前らは自分の役割が分かっていたはずだろう!? ここでキングDQNの株を下げてどうするんだ!!??」


会長の言うことはもっともであった。
本来、有名なレスラーを使うのは、その選手の名前や人気によって見込める収入のためである。
それが、まったく無名のジョバー相手に2対1とはいえ敗北するとは、選手の名声に大きな痛手である。

( ;^ω^)「おっしゃる………通りですお」

('A`)「フヒヒ……スミマセン………」

「………お前達には責任をとってもらおう」

あぁ…また今夜もうまい棒か…
そう思った僕に信じられない言葉が届いた。


「クビだ」

58 名前: 以下、名無しにか わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/08(日) 02:43:02.15 ID:YaZxnwwxO

('A`;)「なっ……!?」


『クビだ』『クビだ』『クビだ』


プロモーターの言葉が頭の中でリフレインする。

( ;^ω^)「ちょ……たった一度ヘマしただけで、何でクビにまでなるんだお!?」

「黙れ!! これ以上お前達に金を削られるのはゴメンだ!!」

何かを変えてやりたい気持ちだった。
どうなったっていい覚悟はあった。

だけど………いざ、目の前に現実を突き付けられると、流石に焦りを覚える。

('A`;)「本気ッスか…?」

「これ以上、お前達と話すことは何もない
早くこの部屋から出て行け」

( ;^ω^)「ちょwwwwおまwwwww」


ギィ…………
??「ちょっと待ってもらおうか」

60 名前: 以下、名無しにか わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/08(日) 02:53:03.60 ID:YaZxnwwxO

「誰だっ!? 今、大事な話をしているんだ、出て行ってもらおう!」

/,' 3「ほう…聞いた感じでは話は終わったようだがな?」

「クッ……」

/,' 3「そこの二人なんだがな、俺んとこで引き取ろうと思うんだ。
本当はアンタと交渉するつもりだったんだが、クビになったんじゃその必要はないな」

( ;^ω^);'A`)「えっ!?」


僕らは事態が把握できなかった。
ただでさえクビにされた直後で動揺していたのに、さらにその直後に再雇用の話が来るとは思わなかった。

「な…お前……いったい何者なんだ…?
いったい何の権限があってそんな口を聞いているんだ!?」

/,' 3「申し遅れたかな?
俺の名前はアラマキ、VWFの会長だ」

63 名前: 以下、名無しにか わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/08(日) 03:02:40.73 ID:YaZxnwwxO

「なっ!?」

( ;^ω^);'A`)「アラマキだって!!??」

誰もが驚いたのも無理はない。
アラマキと言えばワロスマスクを発掘しデビューさせ、チャンピオンにまで育てあげた凄腕のプロモーターであり、
VIPレスリング協会(通称VWF)の会長でもある。
更に自身も30年前には『鉄のツメのアラマキ』と呼ばれ、
『アラマキクロー』と呼ばれる恐怖の技で、全板を震撼させた超一流のレスラーだったのだ。

そんな僕らから見れば神様のような人が、何で僕らを引き取ろうとしているんだ……?

僕の頭は自問自答を繰り返していた。

66 名前: 以下、名無しにか わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/08(日) 03:11:38.41 ID:YaZxnwwxO

「あ……あんたがアラマキだろうとっ……そんなに欲しい選手だったら、 ちゃんと金払って持っていってくれよっ!!!
それにソイツらの意思はどうなんだっ!?」

/,' 3「やれやれ………
おい、小僧どもっ!!
俺に付いてくる気はあるか?」

( ^ω^)('A`)「えっ……………」

/,' 3「付いて来んのか来ねぇのか、とっとと返事しやがれっ!!!!」

( ;^ω^);'A`)「ハイッ!!行きますっ!!」


やはりアラマキさんは迫力が違うと思った。
たったの一声で僕は鳥肌がたち、冷や汗をかいた。

これが………伝説の鉄のツメ……………

そう思うと、またさっきリングで感じた熱い想いが湧いてきた。

69 名前: 以下、名無しにか わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/08(日) 03:24:41.84 ID:YaZxnwwxO

/,' 3「よし、これでヤツらの意思は問題なし……と」

バキッ……ボキッ……
/,゚ 3「次はアンタとの話合いか………」

アラマキさんは拳を鳴らしながらプロモーターへと歩んで行く。
僕もドクオも……恐らくは会長も……これから何が起こるか想像がついた。

/,' 3「なぁ…お前さんは、さっきコイツらをクビにするって言ったんだ」

アラマキさんの手が伸びる。

/,' 3「ってことは、もうアンタはコイツらと何の関係もないわけだ」

手が顔の前へと…………
プロモーターは既に顔に汗を浮かべ、小刻に震えている。

/,' 3「な?関係ないヤツを俺が引き取ろうとすることに問題はないよな?」

手が顔に触れる………
「ヒィッ……………」

/。゚ 3「問 題 な い よ な ?」ギュウーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!

73 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/08(日) 03:33:41.23 ID:YaZxnwwxO

「ぐぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!!」


悲鳴が部屋中に響く。
全盛期のころは、まともに決まって脳波が狂った奴も出たらしいアラマキクロー。
年老いても、今だ錆び付いた様子は見えない。


「あ゙あ゙あぁあ゙あぁぁ……いいですっ!!いいですっっっ!!!!」ドサッ…

解放された途端、プロモーターは椅子から崩れ落ちた。
初めて間近で見るアラマキクローに、僕たちは凍てつくような寒さを感じた。

77 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/08(日) 03:42:57.66 ID:YaZxnwwxO

/,' 3「さて、これで話合いは済んだな。
よし、小僧共!! 次はお前達のお祝いだ、付いてこい!」

( ^ω^)('A`)「えっ………?」


目の前であんな光景を見せられたばかりで呆けている僕たちに、あまりにも意外な言葉に尚更戸惑いを感じた。


/,゚ 3「いいから黙って付いてこいよ!!!」バキッ…バキッ…

( ;^ω^)(;'A`)「ハ、ハ、ハ、ハ、ハヒッ!!」


何もかもが無茶苦茶な人だが、それでも職に溢れるよりはこの人に付いて行く方がいい。
どうせ覚悟はしていた。
何かが変わるなら、今こそその時なんだ。
大好きなプロレスが出来るなら………憧れのワロスマスクのようになれるなら………


第二話━Change the future━ 完


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