第八話
155 名前: 以下、名無しに
かわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/01/09(月) 18:35:08.17 ID:sEd2mVwRO
ここはどこだろう。
リングの上か? 観客の声が聞こえる。
ワァァァァァァァァァァ……………
「挑戦者ブーンに対して、防衛戦を行う王者はぁぁぁぁぁぁ……………
ワァァロスゥゥゥ!!!!!!!
マァァァァスクゥゥゥゥゥ!!!!!」
ウォァァァァァァァァァァ!!!!!!!
何だこれは? 事態が把握できない。 そんな僕にワロスマスクが片手を差し出し近寄って来た。
ワロスマスク「ブーン!! お前はアネハを破って、俺への挑戦権を掴んだんだ!」
あぁ、そうか。 僕はアネハにブーンサルトを決めて…………
僕は今からワロスマスクと……
僕のヒーローと戦えるんだ!!
ワロスマスク「さぁ、行くぞ!! 全力でかかってこいっ!!!」
( ^ω^)「だおっ!!」
カーーーーーン!!!!!!!
ワロスマスクと握手を交わした瞬間、僕の目に白い天井が写った。
156 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/09(月) 18:44:03.84 ID:sEd2mVwRO
アル「おぉ、気が付いたか」
( ^ω^)「こ…こは?
あれ?ワロスマスクはどこだお?」
アル「なんだ、まだ意識が混濁しているな。
今は入団試験の最中だぞ」
思い出した。
アネハにブーンサルトを決めた後にゴングが聞こえて………
そうだ。
( ^ω^)「先生、僕は勝ったのですかお?」
肝心な所で意識が飛んだのだ。 あのまま僕が勝ったのか、アネハに逆転されたのか大事な所が把握出来ていない。
アル「心配するな。
7分56秒、ブーンサルトプレスでお前の勝ちだ」
『勝ち』
この一言が聞きたかった。
僕は、自分の手で未来を勝ち取ったんだ。
そう思うと感無量である。
また一歩、ワロスマスクに近付けたんだ。
157 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/09(月) 19:02:46.69 ID:sEd2mVwRO
そういえば、もう1つ気になっている事がある。
( ^ω^)「先生、ドクオはどうしましたかお?」
僕の勝利を喜んでくれたドクオ。
一度きちんとお礼を言いたかったのだ。
アル「ドクオは……
丁度今、試験中だな」
手持ちの資料に目を通しながら、先生が答える。
そうか、それなら丁度いい。 さっきのお礼に応援しに行ってやろう。
僕はゆっくりとベッドから起き上がり歩きだした。
後頭部に痛みが走る。
先生の話だと、アネハロックを長時間かけられていたのだから、仕方がないらしい。
ドアを開け去り際に先生が、アネハロックを破ったのは僕が初めてだと教えてくれた。
鼻唄を唄いスキップをしながら、僕は試験会場へと向かった。
160 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 19:15:52.47 ID:sEd2mVwRO
会場に入った僕の目に、驚くべき光景が入ってきた。
('A`;)「ガッ……グゥッ………」
(#´・ω・)「この野郎、早くギブアップしやがれ!!」
ショボンがドクオに対して、関節技をかけていた。
僕の見たことのない技だ。
うつ伏せになったドクオに対して、仰向けのショボンが上に乗り、
爪先で首を、両手で両足を掴みドクオの体を反り返らせている。
相手の首、腰、腿に大きなダメージを与えるだけでなく、やがては酸素を欠乏させ失神までさせるだろう。
ドクオは大丈夫なのだろうか。
( ;^ω^)「ドクオォォォォォォォ!!!!!!」
僕は無我夢中で叫んでいた。
それがドクオに届くかどうかは分からないが………
162 名前: 1
◆rDvJ0e8dDk 投稿日: 2006/01/09(月) 19:25:39.81 ID:sEd2mVwRO
('A`;)「ないと……帰ってきた……かっ……」
(´・ω・)「フフフ………仲間の前でなら諦めがつくんじゃないのか?
早くギブアップしないと…………」
(#´・ω・)「失 神 さ せ て や る ぞ ?」バキッ…………
('A`;;)「ウガァァァァァ!!!!!!」
普段のショボンとは表情がまるで違った。
いつもはどこかおとなしそうな感じでイヤミばしった奴だが、
今は殺気に目をギラつかせ、寒気を感じさせる。
僕は居ても立ってもいられなくなり、リングサイドへと駆け出した。
165 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 19:35:57.43 ID:sEd2mVwRO
( ;^ω^)「ドクオ!! ドクオ!! 気をしっかり持つお!!」
僕はリングを叩き、必死にドクオへと呼び掛ける。
('A`;;)「あうっ……グッ………」
間違いなく酸欠だろう、ドクオの顔が紫色へと変わりつつある。
(´・ω・)「おそらく君の声は届いていないよ。
ドクオはもう意識を保つのも精一杯な筈だからね」
僕はショボンを無視し、ドクオへの呼び掛けを続けた。
これは残酷なことなのかもしれない、ギブアップをすればあの苦痛から解放されるハズなのに。
だけど僕は敢えて呼び掛け続けた。
きっとドクオも僕と同じだと思ったから、
自ら敗北を認めるくらいなら、このまま悪あがきを続けるだろうと思ったからだ。
それを思い、僕はドクオにこの一言を投げ掛けた。
( ;^ω^)「僕は……お前を待ってるお!!」
166 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 19:44:55.43 ID:sEd2mVwRO
(´・ω・)「ふん、無駄なことを……むっ!?」
('A`;;)「よそ……見して……んなっ……バッカやろう………ぐぁぁぁっ!!!!」
まさにショボンの一瞬のスキをついた。
ドクオはショボンが余裕を持ち、力を緩めた瞬間を見逃さなかった。
唯一自由になっている両手で、ショボンの足首を掴み、首から引き剥がすと、そのまま後ろへと払いのけた。
油断していたショボンは受け身を取ることも出来ずに、頭からリングに落ちる。
(#´・ω・)「ぬぅぅ……テ…テメェっ……」
('A`;;)「へっ……お前も受け身の練習した方がいいんじゃないのか?」
残り時間一分を切ってから、ドクオに最大のチャンスが訪れたのであった。
168 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 19:52:24.61 ID:sEd2mVwRO
( ;^ω^)「ドクオ! もう残り一分切ったお!!」
('A`)「チッ……早めにケリをつけに行くぜ!」
言うが早いがドクオがショボンへと向かう。
しかしショボンが先手を打ち、ドクオの股下へと顔を突っ込んできた。
(´・ω・)「チィッ……再びバーボンクラッチをかけてっ………なぁっ!?」
ショボンがドクオの体を倒そうとした瞬間、ドクオの腕がショボンの腰に巻き付く。
('A`)「ケッ……
同じ技を二回も食らうかってんだよぉぉぉぉおお!!!!!」
そのままショボンの体を持ち上げ、正面で肩車をした形に持ってきた。
残り時間はあと20秒を切った。
ドクオ……間に合うのか?
僕は自分の時以上にドキドキしていた。
170 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 20:01:08.76 ID:sEd2mVwRO
(;´・ω・)「ちょっ……やめろっ……お前っっ…………」
ショボンの顔が、先程のドクオ並に青ざめていく。
それとは対照的にドクオの頬は紅く染まっている。
おそらくアイツも……楽しさを味わっているんだ。
('∀`*)「へっ…へっ………行くぜぇぇぇっ!!!!!!!!」
そのままドクオは勢いをつけ、ショボンの体を叩きつけた。
ドゴォォォン……………
('∀`*)「ドクオ・ボム
決まったぜ……………」
このままカウントを取れば確実に終わる!!
そう思った矢先だった。
カンカンカン……………
時間切れ。
あれだけ頑張ったのに、結果が引き分けだなんて、ドクオが報われない…………
どうしようもない無力感に襲われ、僕はドクオへと駆け寄っていった。
184 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 20:56:41.68 ID:sEd2mVwRO
僕はドクオへと近寄り声をかけた。
( ^ω^)「ドクオ…」
返事がない、やはり引き分けのショックが大きいのだろうか。
今度は肩を掴み揺すってみる。
( ;^ω^)っ「ドクオ、しっかりするお…」
('A`*)「おっ…おぉ、内藤か」
('∀`*)「なぁなぁ、聞いてくれよ!!
俺、パワーボム出来たんだぜ!!」
( ;^ω^)「えっ?」
('∀`*)「名付けてドクオ・ボムっていうんだ!!
カッコいいだろ!?
いやぁーこんな大技初めてだったけど、良く出来たろ!?
超気持ちいいぜぇ!!!」
ドクオが物凄い早さで話しかけてくる。
ドクオは落ち込んでなんかいなかった。 試合後の恍惚感に浸っていたのだ。
もうドクオの中では勝ち負けなんてどうでもいいんだろう。
全てを成し遂げ、紅く高揚したドクオの顔は、間違いななく漢の顔だった。
185 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 20:58:16.53 ID:sEd2mVwRO
第八話━紅く熱い鼓動━ 完
179 名前: 1 ◆rDvJ0e8dDk
投稿日: 2006/01/09(月) 20:31:59.23 ID:sEd2mVwRO
ドクオ
(ドクオ)━(バーボンマスター・ショボン)
試合時間15分
ドクオ・ボムを決めるが
引き分け
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