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第十一話

241 名前: ◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/03(火) 23:14:49.67 ID:Gu9oXd8X0

(,,゚Д゚)「生け捕りにした流石組の組員だけどな、結構口堅いな。 まあ、まだまだ皮膚も目も歯も半分以上残ってるから、これから吐かせてやるさ。」

電話越しにギコさんがそう言った。
先ほどの長岡組での一見で捕らえた流石組の組員はまだ流石組の潜伏場所を吐かないらしい。

(,,゚Д゚)「悪いな、そろそろ薬の時間だ。切るぞ。」
( ^ω^)「薬?」
(,,゚Д゚)「ああ。つっても、俺のじゃねーぞ。コイツに打つ自白剤だ。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・。」

電話の向こうから男の呻き声と「オラ、さっさと吐け!!」という声が聞こえてくる。
これは本当に流石組の潜伏場所がわかるのも時間の問題だろう。

(,,゚Д゚)「じゃあな、内藤。 オイ、失神させんな。水かけろ。」
擬古組組員「イエス、キャプテン。」
(#゚Д゚)「馬鹿野郎!!口で糞垂れる前と後にサーをつけろ!!!」
擬古組組員「サー、イエス、サー。」
(#゚Д゚)「声が小さい!!!拷問は根気と気合だ!!!ジジイのファックの方がまだ気合入ってるぞ!!」
擬古組組員「サー!!!イエス!サー!!!!」
(,,゚Д゚)「まあいい。とりあえず、忙しいから切るぞ。」
(;^ω^)「サ、サー、イエス、サー。分かりましたお、先任軍曹。」
(,,゚Д゚)「は?先任軍曹?」

それっきりギコさんからの電話は切れた。
僕は少しだけ生け捕りになった流石組組員に同情した。

242 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/03(火) 23:15:12.53 ID:Gu9oXd8X0

ギコさんの話によれば、今急いで準備をしているが、連中の潜伏場所がわ かっても突撃できるのは二日後以降になりそうだと言う。
本気で重火器を使う事になれば、当然音や硝煙の匂いで近所が騒ぎになる。
削除人たちや運営への根回し、賄賂等に色々時間がかかるそうだ。
また、捕らえた流石組の組員がなかなか吐かなければ、突入時間はもっと延びることになると言う。

タカラの最後の叫びからすれば、近いうちに流石組の連中が武運組へと突撃してくる可能性は高い。
ギコさんに、擬古組から何人か武装した組員を貸して欲しいと頼んだのだが、モララーさんに動きを察知される恐れがあるから駄目なのだとい う。
クオリティー商事の社長、モララーさんはどちらかというと穏健派だ。
今回も、流石組に対しては守りだけを固めて、連中が逮捕されるのを待つのが最善だと主張している。
ギコさんはモララーさんの邪魔が入らないように、できるだけ内密に事を進めたいらしい。
だが、現状では武運組だけで流石組を相手にするとなると、正直辛いだろう。
長岡組の一件を考えても、奴等は拳銃の扱いにそれなりに慣れているようだ。
拳銃を脅しの道具として持っているだけの僕等とは違い、実際に拳銃を戦いの道具として使っている。
この差は大きい。
さて、どうしたものか。
そう考え、僕は自分の足が知らず知らずのうちにツンの喫茶店に向かっている事に気づく。
いけない。
そう、ツンの喫茶店に行く事だけは避けねばならない。
僕がツンの喫茶店に入れば、ツンまで巻き添えを食う事になる。
だから僕は流石組の突撃の件以来、ツンの事務所には行っていない。
だが、連中が武運組組長の孫娘の経営する喫茶店を襲撃しないとも限らない。
なんとか手を打たなければ。

387 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:26:01.82 ID:AWCZdwzQ0

( ゚∀゚)「よう、遅かったじゃん。」

僕が武運組の事務所に入ると、ジョルジュが組のソファーの座っていた。
正面のソファーにはドクオが座っている。
よく見れば周囲には長岡組の面々が壁にもたれている。

('A`)「遅いですよ兄貴。長岡組の奴等はとっくに釈放されてたのに。」
(;^ω^)「ジョルジュ、おまいなんでここに居るんだお。」
( ゚∀゚)「だって事務所ぶっ壊されちゃったし。」
(;^ω^)「ちょwwおまwww何勝手にうちの組の饅頭食ってんだwwww」
( ゚∀゚)「いいじゃん。俺等客だぜ?」
(;^ω^)「テラ図々しスwwwwwしかもそれツンが僕にくれたお土産www」
( ゚∀゚)「そんなに怒るなよ。ケツの穴の小せぇ野郎だ。」
(;^ω^)「ちょwwwおまwwwww」
('A`)「それにしても兄貴、長岡組に突撃してきた流石組の連中とやりあったんでしょう?俺だけ仲間はずれでずるいですよ。」

388 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:26:25.90 ID:AWCZdwzQ0

ドクオは心底悔しそうに歯噛みしている。
長岡組の事務所が入っていたビルは一階が丸々半壊。長岡組は事務所を失ったことになる。
ちなみに、ショボは流石組の突撃の後、大急ぎで病院に担ぎ込まれた。
命に別状は無いが、しばらくは絶対安静だそうだ。

(;^ω^)「でもなんでわざわざ武運組の事務所に・・・。」
( ゚∀゚)「なんでっておまえ―――」

そこでジョルジュがニヤリと笑った。
見れば、ドクオも楽しみでたまらないという風に顔を俯けてニヤニヤしている。
・・・・・・きめぇwwwwwww

( ゚∀゚)「―――流石組の奴等をここで迎え撃つ算段なんだろ?」

僕は静かに頷いた。




389 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:27:07.36 ID:AWCZdwzQ0

流石組の連中が突撃してきたのはそれから二日後だった。
深夜、事務所内の窓越しに黒いワゴン車が六台、事務所の前に止まるのが見えた。
こんな時間に来客の予定は無い。

( ゚∀゚)「来たな。」

ジョルジュがそう言うと、事務所内で息を潜めて流石組の動向を伺っている長岡組組員、武運組組員の顔に緊張が走った。

( ^ω^)「この前突撃してきたタカラって奴は僕がやるお。」
('A`)「それじゃあ残りは全部俺が。」
( ゚∀゚)「ふざけんな。こっちは事務所ぶっ壊されてんだ。俺だって奴等をぶん殴ってやらなきゃ気がすまねえよ」

僕等は気配を殺して連中が突撃してくるのを待った。
あまり暴れすぎると削除人に通報されてしまう。
できるだけ早く片付けなければならない。
僕の鼓動が早くなった。

390 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:28:05.47 ID:AWCZdwzQ0

黒いワゴン車の中、三人の男達がシートに座っている。
兄者、弟者、タカラの三人だ。

( ´_ゝ`)「わかった。じゃあ俺達は表から。タカラが裏口からだ。」
( ^Д^)「すみません、兄貴達。」
(´<_` )「気にするな。」
( ^Д^)「俺は・・・・・・内藤の首を取ります。」
( ´_ゝ`)「わかった。そろそろ行くぞ。」

三人の男がワゴン車から外に飛び出した。
その周りにはいくつもの車が停まっている。
やがて、男達の後に続くかのように車から男達が降りてきた。
三十人ほどが流石強大と共に武運組事務所の正面玄関から。
数人がタカラの後に続いて裏口へと向かっていく。

( ^Д^)「・・・・・・内藤・・・。内藤ぉおおおおお!!!」

タカラは裏口へ入るなり、叫びながら突進していく。
その手にはライフル銃。
事務所内に居る人影は手当たり次第に撃ち殺していく。
撃ちながらも叫ぶ。
火は、完全についた。

399 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:52:25.43 ID:AWCZdwzQ0

( ^ω^)「・・・・・・・・・。」

僕は事務所の廊下に立ちながら、裏口の方から聞こえてくるタカラの叫びに耳を傾けていた。
目前にタカラが迫っていると言うのに、僕の心は落ち着いていた。
目の前の、廊下の曲がり角からタカラが姿を見せる。その手にはあの時と同じライフル銃。
タカラの目が僕を視界に納めた。
そしてそのときには僕はもうタカラの懐に踏み込んでいる。
僕の右拳がタカラの左頬に食い込む。
相手が突撃してくるのは分かっていたので、僕も銃くらいは携帯している。
だが、今までの経験で僕が銃の扱いに長けていない事は十二分に実感済みだ。
入院したショボも、馴れていないのなら無理に銃を使おうとするな、と僕に助言した。
今回は銃は懐に入れたままだ。できれば、最後まで。
だがタカラは僅かに後ろに下がっただけで、堪えた様子は無い。
長岡組の一軒でも分かったが、タカラはやけに打たれづよい。
いや、ジョルジュのように単純に痛みや打撃に強かったり、僕のように痛みに馴れているわけではないだろう。
痛みは感じているだろうし、気絶だってするだろう。
ただ、倒れるべきときと、そうでない時を知っている。
絶対に倒れてはいけない時を知っている。
こういう奴は、ヤバイ。
単純に心や体が強い奴とは違う、相手に”絶対こいつは倒れない”と思わせる何かがある。

400 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:52:52.20 ID:AWCZdwzQ0

( ^ω^)「残念だけど、組長達には別の板に旅行に行ってもらった お。残ってるのは僕と血気盛んな若衆だけだお。」
(#^Д^)「僕はな、内藤・・・組長だろうとなんだろうと、”その他大勢”どもに興味は無いんだよ。この二日間、お前を殺す事だけを考え てたよ。」
( ^ω^)「そうかお。僕は須藤さんの死体を見たときからずっとお前を殺すと決めてたお。」
(#^Д^).。oO( このニヤケ顔の糞野郎だけは殺す。)Oo。.(^ω^ )

タカラの瞳に暗い炎が宿る。
おそらく僕の目も殺意で塗りつぶされている事だろう。
動いたのは同時。
タカラがライフル銃で殴りつけてくる。
僕は前のめりに体勢を低くして突進しつつ、タカラの鳩尾を下から突き上げるように殴る。
タカラの口から苦鳴が漏れる。
タカラは僕がまずライフルをどうにかしようとすると思ったのだろう。
戸惑いからタカラの動きが鈍る。
僕の背中に軽い衝撃。タカラが振り下ろしたライフル銃は、その戸惑いから、僕の背中を軽く打ち据えるに終わった。
が、次の瞬間にはタカラの膝が跳ね上がっている。
僕の鼻にタカラの膝が食い込む。
僕が衝撃に後ろへ下がると、タカラはライフル銃で銃剣のように突いてきた。
銃口が僕の胸骨にぶち当たり、僕の肺から空気が吐き出される。
連続した衝撃と痛みに、僕の意識が跳びかける。
が、ここで気絶するわけにはいかない。
タカラの、ライフル銃の引き金に添えられた指に力が入るのが見えた。
僕はあわててその場から、倒れるように横に跳ぶ。
半瞬遅れてライフル銃が火を噴いた。
右肩に衝撃。微かに、本当に微かにかすっただけのライフル弾は、僕の右肩に骨まで響くかのような信じられない衝撃を与えた。

401 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 21:53:58.66 ID:AWCZdwzQ0

(;^ω^)「が・・・・・・ッ!!」

今度こそ本当に意識が跳びそうになる。
だが、堪える。
何も倒れられないのはタカラだけではない。
僕だって倒れる事はできない。
僕は殆ど無意識のまま、がむしゃらにタカラ目掛けて足を振り上げる。
しかし、僕のその軸足も無しに、倒れながら放った蹴りが思わぬ結果を生んだ。
僕の足先がタカラの引き金にかかった指と、ライフル銃に命中した。
ライフル銃がタカラの手から落ち、転がる。さらに、タカラの右の人差し指、引き金にかかっていた指は奇妙な方向に捩じれていた。
どう見ても、折れている。
だが、タカラは躊躇する事無く僕に馬乗りになる。
そして、僕の顔に衝撃が走る。
タカラは人差し指の折れた右腕で躊躇うことなく殴りつけてきた。
僕の口の中が切れて、唇の端から血が流れる。
さらにもう一発、左の拳が来た。
そして次には右が。
一発一発が僕の意識を刈り取ろうとする。
僕の意識が混濁し始めると、タカラの手が床に転がったライフル銃に伸びる。
そして、銃声。

411 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 22:29:44.85 ID:AWCZdwzQ0

タカラの体が僕の上で硬直する。
僕の左手には拳銃。
もう扱いに長けていないだとか、接近戦に銃は向かない、だとか言っている余裕は無い。
銃口はタカラの腹に押し付けられている。
これなら外しようは無い。
だが、タカラは倒れなかった。
驚嘆すべき意志力と根性。
その両手がライフル銃を構えようと動く。
そこで、僕はタカラの口が動き、一人の名前を呼び続けていることに気づいた。
つーちゃん、タカラはそう呟き続ける。
僕は躊躇せずもう一発、弾丸を放った。
呟きが、止まった。


412 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 22:30:13.00 ID:AWCZdwzQ0

正面から突入してきた男達を片付けていたジョルジュの前に、そいつが現 れた。

(´<_` )「成るほど、さすが輪呂巣会でも有数の組だ。それなりにやるヤツも居るじゃないか。」
( ゚∀゚)「あ?オレはここの組のもんじゃねーよ。てめえ、流石兄弟か?」
(´<_` )「そうだ。」

それだけ言うと弟者がファイティングポーズを取る。
右腕は顎元に、左腕は下げた、クロンク・スタイルと呼ばれる攻撃重視の構えだ。

( ゚∀゚)「てめえ、ボクサーか?」
(´<_` )「我流だがな。こう見えても”はじめの一歩”全巻揃えてるほどの腕前だ。」
(;゚∀゚)「・・・・・・・・・。」

我流って、ジムに通ってたわけでも学んだわけでも無いのに、なにを基準に自分をボクサーだと言ってるんだ。
そう言おうとしたが、言葉にする前に弟者がゆっくりと間合いを詰めてきた。
ジョルジュは全身の筋肉に緊張を巡らせ、感覚を研ぎ澄ませる。
次の瞬間には、スーツの袖から取り出したナイフが魔法のように両手に現れている。
弟者の腕に力が篭ろうとした瞬間、ジョルジュは右手のナイフを繰り出した。

413 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/04(水) 22:30:35.46 ID:AWCZdwzQ0

――もらった!!
先手は取った。

だが、気づいたときにはジョルジュの右手からナイフが落ちていた。

(;゚∀゚)「な・・・・・・ッ!」

何時の間にか、下にだらりと下げられていたはずの弟者の左拳が、ジョルジュの右手の手首を外側から殴りつけていた。
強烈なフックを食らったジョルジュの右手に痺れが走る。
焦りを覚えながらもジョルジュはさらに左手のナイフを繰り出すが、先程フックを出したばかりのはずの、弟者の左拳がそれを弾いた。
さらに弟者は、ガラガラになったジョルジュの懐に踏み込みながら、顎元に添えられていた右腕でストレートを放った。
踏み込んだ軸足に体重をかけ、腰を捻る。そして捻った腰の動きに逆らわないように肩、続いて肘の筋肉を伸ばす。
自分の体を伝う力を一切無駄にしない、まるで手本のように綺麗なフォームのワン・ツーだ。
弟者の放ったストレートが腹に食い込み、ジョルジュは後ろへとよろめく。


540 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:20:11.07 ID:dX3/ohEk0

よろめきながらもジョルジュは残った左手のナイフを突き出すが、既に弟 者は間合いの外へと下がっている。
その足運びは対して速くは無い。
だが、腕の筋肉、とくに肘の伸びを生み出す、肘周りの筋肉が異常に強い。
また、相手に殴りかかるときのフォームも完璧だ。
フックを当てられた右手などはまだ震えたままだ。

(;゚∀゚)「強えじゃねえか・・・。てめえが有名な兄の方か?」
(´<_` )「いいや。俺は弟の方だ。俺達を知ってるのか?」
(;゚∀゚)「組としてはともかく、あんたら二人はラウンジじゃあ随分有名だったぜ。何をしだすかわからない兄とそれを抑える弟ってな。」
(´<_` )「そうかい。」
(;゚∀゚)「名前を聞いていいか?」
(´<_` )「名前ならこの家業についた時に捨てた。弟者。呼びたくばそう呼べ。何処にでも居る兄弟の何処にでも居る弟さ。」

それっきり弟者は口を開かない。
左手をだらりと下げ、右手は顎元へ。
再びクロンク・スタイルをとる。
それを見て、ジョルジュの目が据わった。

541 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:20:31.82 ID:dX3/ohEk0

痺れたままの右腕を前に、腕を地面に対して水平にして構え、ナイフを 持った左腕を後ろで構える。
さらに、一定のリズムに合わせて体を小刻みに揺らす。
右腕でガードを固めて左手でカウンターを狙う、相手が何時攻撃を仕掛けてきても対応できる構えをとる。
しかし、弟者は躊躇う事無くジョルジュの間合いへ踏み込んでいく。
定石通り、下げた左腕からのジャブを放つ。
ジョルジュは前に出した右腕でガードー―――

――――するかと弟者は思っていたが、ジョルジュは未だ震えの止まらない右腕を無理やり握りこんで裏拳を放った。
ジョルジュの前に出された右腕をガードのためのものだと思っていた弟者はその裏拳を顔の中心に食らう事になった。
拳を強く握れなくとも、裏拳なら問題は無い。
殆ど呼び動作は無しで動いたジョルジュの手の甲が、弟者の顔面を打ち据える。
ジョルジュは軽い目潰しにもなった裏拳を引っ込めつつも、後ろで構えていたナイフを突き出す。
―――とった!!!
ジョルジュがそう確信した瞬間、その頬に弟者の左拳がめり込んだ。

542 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:21:11.34 ID:dX3/ohEk0

弟者は、視界を裏拳でふさがれながらも、先ほど放った左のジャブを止め てはいなかった。
そこから経験測と普段の体の動かし方の習慣から、弟者は右拳でストレートを放つ。
ジョルジュのナイフを握った左腕と、弟者の右腕が交差した。
だが、後ろに下がって苦鳴を漏らしたのはジョルジュだ。
弟者の右ストレートはしっかりとジョルジュの頬を捉え、ジョルジュのナイフは弟者の右肩を浅く切るに留まった。
裏拳を顔に受けてもまったく戸惑わなかった弟者と、左のジャブを頬に受けて怯んでしまったジョルジュとの差だ。
ジョルジュは伸びきった弟者の右手の腱を切ろうと、ナイフを伸ばすが、それよりも早く右拳は引かれている。
そして、右拳が引かれるのと同時に左拳が跳んでくる。
右拳を引く勢いを利用して左拳を出したのか、左拳を出す勢いを利用して右拳を引いたのか、はたまたその両方か。
どれにしても、弟者の右拳に切りつけようと、左手を伸ばしたままのジョルジュへ左のストレートがカウンター気味に入る。
ジョルジュがさらに後ろへとよろめくのを見逃さず、弟者は右、左、右と容赦の無い連撃を叩き込んでいく。
踏み込みの力、腰の回転、肩の力、拳を引くときの勢い、それら一切を無駄にせず、次の動きへと繋げていく、見事な連撃だった。
まるで、体が最初からそう動く事を前提として作られているような、それだけの動作を繰り返すために作られた機械のような、正確無比な動き。
ジョルジュは殴られながらも左手のナイフを強く握って放そうとはしないが、反撃する余裕は無い。
拳が入ったと思った次の瞬間には、反対の拳が入っている。
右肩を切られているにもかかわらず、弟者の動きには支障のようなものは発生していない。
弟者は最後に、真下から救い上げるかのようなアッパーを顎にむけて放つと、ジョルジュは後ろへと倒れた。
倒れ際に床に頭でも撃ったのか、ゴトンという大きな音が響く。

555 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:48:57.93 ID:dX3/ohEk0

(´<_` )「思ったより手こずったな。」

あれだけの勢いで拳を何度も放った弟者に、拳を痛めた様子は無い。
床に倒れたジョルジュを尻目に、事務所内で戦っている他の武運組組員を仕留めに行こうと、弟者が歩き出す。
だが、その弟者の背後で何者かが立ち上がる気配があった。

( ゚∀゚)「・・・・・・・・・。」
(´<_` )「・・・・・・、見かけによらず随分打たれ強いじゃないか。」
( ゚∀゚)「なあに、顎なら前にも重たいのを食らった事があってね。そいつの方が踏み込みも早かったし、パンチももっと重かったよ。」
(´<_` )「強がりはよせ。顎だけじゃない、鳩尾にも何発も当ててやったんだ。痛みで動く事もできんはずだ。」
( ゚∀゚)「半角二次板のストリートじゃあ、相手が痛みで転げまわってる程度じゃ戦いは終わんねえがな。」
(´<_` )「ハッタリ・・・、じゃあなさそうだな。」

事実、ジョルジュの体は淀みなく動くようだ。
痛みは感じているようだが、それで体を動かせない、というような様子も見られない。
弟者が構えるのに合わせて、ジョルジュは先程から左手に握りっぱなしだったナイフを地面へと放る。
ナイフが銀の軌跡を描いて床を転がった。

556 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:49:24.74 ID:dX3/ohEk0

ジョルジュは転がったナイフには目もくれず、相手に対して斜に構え、右 腕を前に突き出す。
その動作に弟者は眉を寄せた。
ジョルジュの突き出された右腕は、手のひらが上を向いた状態から反時計周りに一回転させて捻られていたからだ。
肘と手のひらが上を向いた奇妙な構えだ。

(´<_` )「奇をあてらって俺の隙でも作ろうというのか?」
( ゚∀゚)「そう思うんなら遠慮なくかかってきな。」
(´<_` )「その突き出した右腕を陽動に、左手でなにかするつもりなら、ナイフを捨てたのは失策だったな。」
( ゚∀゚)「なあに・・・、大切な事を思い出しただけさ。」
(´<_` )「何?」
( ゚∀゚)「戦いを楽しむことでもない、勝とうとする事でもない、もちろん努力する事でも友情でもない。」
(´<_` )「努力、友情、勝利。少年ジャンプの三大テーマか。」
( ゚∀゚)「戦いの最中にそんなもんに固執するヤツは糞だ。俺が忘れてたのは当たり前の事だ―――」

弟者はジョルジュの台詞をさえぎるように、ジョルジュの間合いへと踏み込んだ。
こうして会話をさせて体力を回復させる時間を稼ぐのが目的かもしれないからだ。
ジョルジュの構えは明らかに実戦向きの構えではない。
何故なら、捻られたあの腕からでは一度腕を元に戻し、引っ込めてからでないとストレートもフックも放てない。
ならば、あの前に突き出された右腕はこちらの意識を集中させるための陽動でしかないだろう。
そう思って踏み込んだ瞬間、ジョルジュの右拳が弟者の顔面へと入った。

558 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:49:51.59 ID:dX3/ohEk0

(´<_` )「――――ッ!!!!」

弟者の顔が驚愕に歪む。
初めて、弟者の拳が戸惑いで止まった。
弟者の顔に命中したジョルジュの拳、それは裏拳だった。
そこで弟者は理解した。
ジョルジュの先程の奇妙な構えは、陽動では無い。
この裏拳にスピードと勢いを持たせるための構えだったのだ。
一度捻った右手で攻撃をしようと思うのなら、一度捻りを戻さなければならない。
もちろん、腕に無理な体勢を強いているため、腕は自分から時計回りに、捻りを戻そうとする。
その時の勢いを利用して裏拳の初速に勢いをつけた。
後はその勢いに自らの力を加えてやれば、先程のように不意を突かずとも弟者のパンチのスピードを上回る事が出来る。

(#゚∀゚)「――――そう、当たり前の事だ!!!目の前の敵を!!!てめえを自分自身の拳で直にぶん殴ってやりたいって思うのはな あッ!!!!!!!」

先程までとは違い、今度は弟者が怯む番だった。
弟者の拳が止まった隙を見計らい、裏拳を放ったままの右腕の肘を、弟者の顔めがけてぶち当てる。
握られた右の拳をさらに左手で包み、相手の意識を刈り取る鎌のような鋭い一撃が弟者の顔へと命中した。
弟者の鼻っ柱が折れ、鼻から血を流している。

559 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:50:40.30 ID:dX3/ohEk0

(´<_`;)「ぐ・・・・ッ!!」

弟者は構えも警戒も投げ捨てて、急いでジョルジュから間合いをとる。
自分の鼻が折れている事を確認すると、急いで鼻を無理矢理元に戻す。
放っておいて、変な形で鼻が固定されてしまっては大変だ。
自分の鼻から、骨がずれて元に戻る感覚と共に激痛が走り、弟者は顔を歪める。

(#゚∀゚)「俺はなあ、気づいたときは半角二次板に捨てられてたんだよ。角煮歓楽街のストリートチルドレンだった。」

そんな弟者を見据えながら、ジョルジュは滔滔と語りだす。
完全に場の流れがジョルジュへと逆転していた。
そして、弟者自身もそれを感じ、不用意に動く事はしなかった。

(#゚∀゚)「んなガキの頃は、這い上がるための武器つったらこの拳しかなかった。長らくナイフなんかにハマってたもんで忘れてたぜ ―――」

そこでジョルジュは弟者へと間合いを詰めて殴りかかる。
構えも何も無い、隙だらけの動きだ。

(#゚∀゚)「―――気に入らないヤツはまず殴る。角煮歓楽街での唯一のルールをよ!!!!」

562 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:52:57.83 ID:dX3/ohEk0

馬鹿め、と、弟者はそう思った。
というのも、ジョルジュの動きは今までの物とは違い、荒々しく、ガードを無視したものだったからだ。
弟者は無言で左のフックを放つ。
ジョルジュの右頬に食い込む、が、ジョルジュは痛みに顔を歪めつつも殴りかかった右拳を止めない。
もう、相手の打撃に驚く事も、いちいち手を止める事もしない。
彼の育ったストリートの殴り合いでは殴られるのが当たり前だからだ。
彼の故郷で、ストリートで最後まで生き残るのは、攻撃がなかなか当たらないヤツでも攻撃が強いヤツでもない。
攻撃を受けても最後まで倒れずに自分の拳を振り上げ続けるものだけだ。
ジョルジュの右腕から放たれたフックが、弟者の左顎に命中する。
弟者はなんとか反撃しようと、殴られた顔をジョルジュへと向き直ろうとする。
ジョルジュのフックは、ただ渾身の力を込めただけのがむしゃらで大振りなものだったからだ。
正直言って、殴られた場所が無茶苦茶痛かったが、ここを耐えれば右腕を振り切ったジョルジュは隙だらけだ。
だが、その時にはジョルジュの左足の靴底が顔に迫っていた。

(´<_`;)「な・・・・・・・・・・・ッ!!!!!!!!」

右腕を振り切った時の腰の回転にあわせて、踏み出した右足を軸に左足で後ろ回し蹴りを放ったのだ。
ジョルジュの靴底が弟者の左顎にめり込む。
先程フックを受けて激痛が走った左顎に、再び激痛が走る。
弟者の脳が、てこの原理で二度揺れる。

565 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2006/01/05(木) 23:53:23.71 ID:dX3/ohEk0

(´<_`;).。oO(コイツ――――!!!どうやったら次の 攻撃に繋げやすいか、経験からか直感からか知ってやがる!!!俺みたいに両腕から繰り出すパンチだけじゃない、パンチも蹴りも、体全体の動きを知り尽くし てやがる!!! )

倒れる弟者に、蹴り終えて下に下がった左足を軸に、ジョルジュがさらに右回し蹴りを叩き込んだ。
ジョルジュのつま先が弟者の腹に入る。

(´<_`;)「がっ!!!!!!!!!!」

弟者は短く、肺にたまった空気を吐くと、そのまま意識を失った。
それを視界に納めて、ジョルジュが満足そうにその場にへたり込んだ。

(;゚∀゚)「――――ったく、きつ過ぎだぜ。ラウンジもあちこち回ってみたが、こんな強いヤツが居るとはな・・・。」

今すぐ他の組員や内藤、ドクオの援護に向かいたかったが、それは難しそうだ。
久しぶりに体を滅茶苦茶に動かして、あちこちが痛む上に、弟者から受けたダメージも残っている。

( ゚∀゚)「あーあ。疲れた。早く帰ってソープ行きてえ。」

今日はどこの店にするか。
床に座り込みながら、ジョルジュは真剣に考え出した。




第十一話  Brotherhood・完


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