第四話
128 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/28(水) 23:45:45 ID:+VI9CEl/0
秋になった。
夏の暑さはすっかり消えてしまったのに、武運組とスレスト建設の抗争は激化の一途を辿った。
兵隊の数では武運組は三倍以上なのだが、スレスト建設の連中はしぶとかった。
しかも、とんでもなく過激な連中だった。
もう武運組の組員は二十人近く病院送りにされている。
スレスト建設は元々武運組参加の組の中でも武闘派で通っていたらしく、やたらと血気盛んな連中が多い。
この抗争で、こっちの組からは死者ももう二人でている。
ドクオ等は「組公認で連中をぶん殴れますよ」と息巻いているが、町全体が、見えない地雷がいくつも埋まっているかのような緊張感に包まれて
いた。
結局、僕はあれから何度か取立てをこなして、武運組の組員になる事ができた。
ドクオを止められるのは僕だけ、という事で、ドクオは僕の舎弟になった。
さらに、今では僕に若頭補佐役とかなんとかいう役職まで与えられている。
組長がツンの一件以来、僕の事をやたら気に入っているらしい。
他の組員からも、ドクオを止める事ができる、という事で一目置かれるようになった。
なんだか順風満帆すぎて、少し怖い。
131 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/28(水) 23:47:18 ID:+VI9CEl/0
そんなある日、僕は組長に呼ばれた。
武運組長「やあ、内藤君。組の方には馴れたかい?」
( ^ω^)「はい。もう大丈夫ですお。」
武運組長「実はね、今日は輪呂巣会の幹部集会があるから、君とドクオにも来て欲しいんだよ。」
( ^ω^)「輪呂巣会って何だお?」
武運組長「ん、話さなかったかい?VIP一体の総会屋達を取り仕切ってる、いわばVIPのヤクザの大ボスだよ。」
( ^ω^)「親っさんよりも偉い人が居たのかお。」
武運組長「うん、まあそういう事になるね。うちとスレスト建設との事で話があるんだそうだ。」
( ^ω^)「わかりましたお。ドクオの奴を呼んできますお。」
VIPセントラルホテルにて
( ^ω^)「すごい人だお。これ全部ヤクザかお。」
武運組長「ちょっと、内藤君、声が大きいよ。」
('A`)「そうですよ内藤の兄貴。それと”やくざ”じゃなくて”総会屋”。まわりから睨まれてますよ。」
132 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/28(水) 23:47:45 ID:+VI9CEl/0
僕達が組長に連れてこられたのはVIPの中心街に居を構えるホテル、
VIPセントラルホテルだった。
七星とまではいかないが、高級感の漂う二十階建てのホテルだ。
今日はこのホテルの一階から十階までがまるまる貸切だというのだから驚きだ。
ホテルのエントランスロビーではすでにあちこちの組員の若衆達がガンの飛ばしあいをはじめている。
エントランスに住人ほどの若衆を残して、僕と会長、若頭の須藤さん、ドクオ、他数人がホテルの九階まで上がる。
武運組長「須藤、内藤君たちはここで残っていてくれ。ここから先は幹部会の出席者しか入れないんだ。」
( ^ω^)「わかりましたお。」
武運組長が宴会用の和室に入っていく。
十階は、上から襲撃されたときのためにわざとスペースを空けてあるのだという。
九回のエレベーターホールには、他の組の中でもそれなりの地位に居るのだろう、上品なスーツに身を包んだ男達が控えていた。
猛獣に無理矢理服を着せているような印象があって似合わないな、と思った。
こちらは一回にいた連中とは違って、随分落ち着いている。
中には、知り合いなのだろう、親しげに談笑をしている者達までいる。
135 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/28(水) 23:58:54 ID:+VI9CEl/0
( ^ω^)「なんだか偉そうな人達がたくさんいるお。」
須藤「内藤、そんなにキョロキョロするな。恥ずかしいだろ。」
( ^ω^)「でも若頭、他の組の偉い人達を見てみたいお。」
('A`)「内藤の兄貴、誰か大物がきたみたいですよ。」
周囲が騒がしくなり、それまで談笑していた者達が道を開ける。
須藤「来たぞ。輪呂巣会の会長、輪呂巣良介だ。」
開いた道を堂々と歩いてくる老人がいた。
年の頃は武運組長と対して変わらない。
だが、こちらは組長とは対照的に、片手で杖を突いて歩いているような、弱弱しい老人だった。
細い体躯の中で、目だけが猛獣のようにギラギラとしている。
(;^ω^)「なんだかすごそうな人だお・・・。」
須藤「丁度いい機会だから色々VIPのヤクザの勢力図を教えといてやる。」
( ^ω^)「勢力図?戦国時代の武将みたいでかっこいいお。教えてくださいお。」
須藤「わかったからもちつけ。」
そういうと須藤さんはエレベーターホールの適当な椅子に座り、懐からボールペンと手帳を取り出す。
須藤「輪呂巣会ってのは全部で大体3000人くらいのヤクザの集まりだ。」
( ^ω^)「3000人もいるのかお。」
136 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/28(水) 23:59:38 ID:+VI9CEl/0
須藤「ああ。輪呂巣会の中でもそれなりの力を持ってる組は、これくらい
だな。」
若頭の須藤さんはボールペンで手帳にまず大きな丸を書いた。
そのなかに小さな字で「輪呂巣会」と書く。
次に、その中に五つの小さな丸を書いた。
「神山組」「クオリティー商事」「擬古組」「喪那亜組」そして最後に「武運組」
須藤「輪呂巣会傘下で最大派閥なのが喪那亜組だな。歴史もあるし、組長も穏健派で通ってる。その次がう
ちの武運組かクオリティー商事だろうな。」
( ^ω^)「武運組って結構大きいのかお。」
('A`)「まあ、傘下の組の連中も入れれば300人は居ましたからね。今はスレスト建設が抜けて少なくなってますが。」
(;^ω^)「うちって300人も居たのかお。」
と、その時、僕達に一人の男が近づいてきた。
見覚えのある男だ。
(´・ω・`)「おい、内藤。内藤じゃないか!!!」
( ^ω^)「そういうおまえは、・・・・・誰だっけ?」
(´・ω・`)「はははは、相変わらずとぼけた奴だ。ぶち殺すぞ。」
(;^ω^)「ちょwww冗談だおwwww久しぶりだお、ショボ。」
僕達に近づいてきたのは高校を卒業してVIP防衛大学に入ったはずのショボだった。
139 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:06:01 ID:UL6nXrh10
(´・ω・`)「お久しぶりです、須藤の兄さん。」
須藤「おお、神山組のところのショボじゃねーか。内藤と知り合いなのか?」
(´・ω・`)「はい、高校時代の同級生です。」
( ^ω^)「中学も一緒だったんだお。」
(´・ω・`)「すいません、ちょっと内藤借りてっていいですか。」
( ^ω^)「須藤さん、色々昔話もしたいんですお。お願いしますお。」
須藤「ああ、いいから行って来い。そのかわりドクオも連れてけ。何かあっても俺達じゃ止められん。」
( ^ω^)「わかりましたお。」
須藤さんの許可を得て、僕とドクオはショボの後について行く。
少し歩くと、ショボは側にあった椅子に座る。
机の上には寝転んでいる人影があった。
/ ,' 3「zzzzzZZZZZzZZzZZZZ」
(;^ω^)「ちょwww荒巻wwwwwwww」
141 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:06:40 ID:UL6nXrh10
/ ,' 3「ZZZzZZzZzZZZzzzzzZz」
(´・ω・`)「ようこそバーボンハウスへ、じゃなかった、とりあえずこれはおごりだから飲んで欲しい。」
そう言うと、ショボは僕とドクオに缶ビールを渡す。
おそらく一回の自販機で買って来たのだろう。
(;^ω^)「ちょww昼間からビールwwww」
(´・ω・`)「硬いこと言うなよ。この家業に昼も夜も無いさ。」
( ^ω^)「ところでショボと荒巻はなんでヤクザなんてやってるんだお?」
(´・ω・`)「ああ、俺はVIP防衛大学に通ってたんだがね。大学の倉庫から訓練用の拳銃を横流ししていたのがバレかけてね。退学になっ
てしまったんだよ。」
(;^ω^)「ちょwwwおまwwwww横流しってwwwwww」
(´・ω・`)「ああ、断っておくが金に困っていたわけじゃない。何時見つかるか知れないあのふいんき(←何故か(ryが言葉では言い表せ
ないほど楽しくてね。」
(;^ω^)「何やってんだおまえwwww」
(´・ω・`)「病み付き、というヤツさ。謝って許してもらおうとも思っていない。」
(;^ω^).。oO(コイツ、頭はいいのにそんな事で人生棒にふったのかお・・・。 )
(´・ω・`)「横流しはなんとかバレなかったんだが、倉庫の警備が厳しくなってしまってね。つい自分に貸与されていた学生用の拳銃を横流
ししてしまったのさ。 」
(;^ω^)「・・・・・・・・・」
(´・ω・`)「次の日の授業ですぐに拳銃を紛失した事がバレてね。不祥事を起こしたとしてあっという間に退学さ。」
142 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:08:03 ID:UL6nXrh10
ショボはなんでもないことのようにさらりと自らの悪事を喋った。
一年半の月日は彼の性格を完全に変えてしまったらしい。
昔はもう少し常識のあつヤツだと思っていたが。
(´・ω・`)「まあ、しばらくブラブラしている内に、横流しをしていた頃のお得意様、武闘派の神山組に鉄砲玉として拾われてね。」
(;^ω^)「今に至る、と・・・?」
(´・ω・`)「ああ。幸い射撃訓練ではA判定を貰ってたからね。三百メートル先のドーナツの中心部分でもスコープ無しで撃ちぬけるよ。」
(;^ω^)「ドーナツの中心部分てwwwwねーよwwww」
(´・ω・`)「一流のスナイパーは存在しないものでも打ち抜けるのさ。君の人徳、とかもね。」
(;^ω^)「ちょwwおまwwwテラヒドスwwww」
/ ,' 3「zzzzZZZZzZzZZzZZZZ」
( ^ω^)「で、荒巻はどうしてここに居るんだお?」
(´・ω・`)「ああ、荒巻か。よく分からないが、会計士としてクオリティー商会の金庫番をやってるらしい。」
( ^ω^)「クオリティー商会って、あの輪呂巣会でも二番目か三番目くらいに大きいっていう?」
(´・ω・`)「ああ、経済力なら輪呂巣会傘下の中でも最大派閥だろうね。なにせ、”近代化”とかいってあちこちの事業に手を伸ばしてる連
中だからね。」
(;^ω^).。oO(そんなところの金庫番って・・・、何者なんだお・・・、荒巻・・・。 )
(´・ω・`)「まあ、あの無害そうな顔と、無欲な寝てばかりの性格だ。信頼されて大金を任されるのも頷ける。」
148 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:23:14 ID:UL6nXrh10
僕が言葉を失っていると、ショボは僕とドクオを交互に見て言ってきた。
(´・ω・`)「しかし、驚いたと言えば君だよ、内藤。」
( ^ω^)「?」
(´・ω・`)「その如何にも”自分は何も知りません。純粋なんですお”とでも言いたげな間抜け顔。君らしいね。」
(;^ω^)「ショボ、おまえ僕の事本当は嫌ってるお?ww」
(´・ω・`)「まさか君が極道の世界に入っているとはね。それも物騒なのを連れて。」
(;^ω^)「ちょwww無視すんなwwwww」
(´・ω・`)「”一人火薬庫”のドクオ君だろ?話は聞いてるよ。神山組と武運組の縄張りは隣り合ってるからね。」
('A`)「どうも。内藤の兄貴の舎弟やってます、ドクオです。」
(´・ω・`)「ああ、こちらこそよろしく。それと、敬語はやめてくれ。君は内藤の舎弟であって僕の舎弟じゃあない。」
('A`)「では、お言葉に甘えて、――――馴れなれしいんだよテメェ。ナメてんのか糞が。」
(´・ω・`)「はっはっは。ぶち殺すぞ。」
(;^ω^)「ちょwwwおまいらwwwww」
149 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:23:42 ID:UL6nXrh10
一触即発かとも思われたが、どうも二人ともお互いに冗談を飛ばしている
ような感覚で今の会話をしたらしい。
焦って損した。
しばらく缶ビールを飲みながら語り合った僕ら四人は、久々の昔話に花を咲かせた。
ドクオも荒巻やショボと完全に意気投合し(といっても、荒巻はずっと寝ていただけだが。)時が経つのを忘れて語り合った。
気がつけば、話し始めてから二時間が経過し、輪呂巣会の幹部集会は終わっていた。
武運組長「内藤君、そろそろ帰るよ。幹部集会は家に帰るまでが幹部集会なんだから、昼間っから酔ってちゃ駄目だよ。」
( ^ω^)「すいませんお。高校時代の友達に会って浮かれて飲みすぎましたお。」
武運組長「ああ、幼馴染か。何歳になっても幼馴染はいいもんだよね。」
( ^ω^)「武運の親っさんも幼馴染が居るのかお?」
武運組長「ん、ああ。私が言ってるのはエロゲの話だよ。」
(;^ω^)「ちょwwww」
( ^ω^).。oO(この人見かけに寄らずおもしろいな。 )
それから僕達は組長の車の中で話を聞いた。
窓が全て強化ガラスの黒い国産車だ。
椅子がやけにフカフカで柔らかく、座っていると眠くなる。
157 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:40:21 ID:UL6nXrh10
武運組長「内藤君、起きて、起きて。」
( ^ω^)「教えてください、僕は誰なんですか?・・・・・むにゃむにゃ。」
武運組長「寝ぼけないで、内藤君。それ違うスレの内藤君だよ。」
(;^ω^)「すみませんお。柔らかい椅子に座るとどうしても眠くなるんですお。」
武運組長「今までの話聞いてた?」
(;^ω^)「えっと、スレスト建設と武運組の抗争が議題だってのは聞きましたお。」
武運組長「ああ。それが、会長に『武運組とスレスト建設の構想には輪呂巣会としては基本的には不干渉にする』って言うんだ。」
(;^ω^)「待ってくださいお!!!武運組は輪呂巣会の直系じゃないんですかお!!!?」
武運組長「しかし、相手も輪呂巣組の中ではそれなりにコネを持ってるからね。今回の事は”内部抗争”と見るそうだ。」
( #^ω^)「な!!!!!あの腰抜けジジイ!!!!何が輪呂巣会会長だお!!!
先にツンを誘拐したのはスレスト建設じゃないですかお!!!」
武運組長「内藤君、落ち着いて。会長も歳をとって腰を落ち着けたんだろう。最初からある程度はわかっていたさ。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・」
僕の中にあの輪呂巣会会長への猜疑心が広がった。
あの時見たあの会長の、懐にしまわれた研ぎ澄まされた小刀のような目は今でもハッキリと思い出せる。
まるでうちの組の血気盛んな若衆連中の目に近い光が宿った、ギラついた目をしていた。
海千山千、極道の世界を知り尽くした老獪な目だ。
とても腰を落ち着けたようなヤツにできる目じゃない。
大方、どっちが今後の輪呂巣会の戦力になる組なのか見極めようとでも言うのだろう。
158 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:41:22 ID:UL6nXrh10
( `ω´)「糞ッたれめ。」
僕は呟いた。
結局、偉い人達がずる賢いのは、普通の社会も極道の世界も同じだった。
それから一週間が過ぎた。
スレスト建設と武運組の抗争は、外が肌寒くなってきたこの季節にも元気に続いていた。
家に篭ってゲームばかりの最近のガキどもに見習わせたいくらいだった。
武運組の中からはさらに二人の死者が出ていたし、スレスト建設からは先日、5人の死者が出た。
ただし、スレスト建設のほうの死者は、分が悪いと見て裏切ろうとした者達への制裁だが・・・。
そして、僕とドクオはというと、スレスト建設の連中に囲まれていた。
(;^ω^)「ちょwww『それから一週間が過ぎた』って、冒頭からいきなりこれかおwwwww」
('A`)「?冒頭?一週間?何いってんですか、兄貴。」
スレストA「おまえ、内藤さんとドクオさんだよな?」
スレストB「ここら辺じゃあ有名だぜ?あんたら。」
スレストC「何せドクオさんはうちの事業を邪魔してくれたからな。」
('A`)「は?事業の邪魔?生きてるだけで他人の邪魔になってるような連中が何言ってんだ。」
162 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:56:23 ID:UL6nXrh10
相手は五人。いずれも血気盛んなスレスト建設の若衆だろうが、僕とドク
オなら全員片付けるのはわけないだろう。
しかし、そこに新たな乱入者が現れた。
( ゚∀゚)「よう、てめーら、何やってんだ?」
スレストA「ジョルジュの兄貴!」
スレストB「見てください、コイツ等、あの内藤とドクオですよ!!!」
( ゚∀゚)「誰それ?」
スレストC「ちょwwwww武運組の中でも出世頭の連中ですよwwww」
スレストD「ほら、うちの建てていた家を四つも壊しやがったドクオと、そいつを唯一止められるっていう内藤ですよ。」
( ゚∀゚)「居たね、そんなの。俺おっぱい以外興味無いからよく覚えて無いけど。」
スレストE「ちょwwwwこの人大丈夫か?wwwww」
( ゚∀゚)「一瞬でも見えたおっぱいなら絶対忘れないんだけどな。人の名前覚えるのは苦手なんだよ。」
スレストA「マジで大丈夫なのか?wwwこの人wwwwwww」
なにやら変なのが来た。
163 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:57:13 ID:UL6nXrh10
どうも彼等の話を聞いていると、このジョルジュという男はスレスト建設
の中でもそれなりの地位の人間らしい。
('A`)「スレスト建設の若頭で突撃隊長のジョルジュ長岡ですよ、兄貴。」
僕の怪訝そうな顔に気がついたのだろう。
ドクオが説明をくれた。
('A`)「半角二次板の角煮歓楽街のストリートギャング上がりらしいです。腕っ節がやたら強くて、あっという間にスレスト建設の若頭に
なったそうです。」
角煮歓楽街というのは、2chの中でも最大の歓楽街だ。
どんな趣味の客でも満足させる、多岐に渡る色々な趣味の客を対象にした娼館があることで有名だ。
歓楽街、という事はもちろんそれを仕切るヤクザの抗争も激しい。
そこでストリートギャングとして生きていたという事は、かなり腕に自信があるのだろう。
( ゚∀゚)「まあいいや、たたんじゃえよ。」
ジョルジュの能天気とも言えるその一言と共に、スレスト建設の五人がこちらに向かってくる。
僕はそのまま先頭に向かってきたヤツの顔面を殴り、鼻っ柱をへし折る。
そのまま倒れたそいつの膝裏を踏み抜く。
相手は足を押さえてうずくまる。
これで一人は潰した。
164 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 00:57:54 ID:UL6nXrh10
その頃、僕の後ろではドクオが一人を片付けていた。
側に転がっていた角材で、一人を殴り倒していた。
一体どれほどの力が篭っていたのか、殴りつけられた角材を支点にして、相手が一回転していた。
敵のうち、残った三人が警戒して一斉にかかってくる。
ドクオが握っていた角材を一振りして牽制する。
それで相手がひるんだ瞬間、僕は連中とすれちがって、ジョルジュに殴りかかる。
僕のタコ部屋で鍛えられた以降もトレーニングを欠かしていない足は、一瞬でジョルジュとの距離を詰める。
( ゚∀゚)「・・・・・・・・・・・・・ッ!!!」
ジョルジュが僕の接近に気づいて身構えるが、もう遅い。
僕の放ったフックはしっかりとジョルジュの顎を打ち抜いている。
ジョルジュがその場に倒れる。
('A`)「内藤の兄貴、こっちも片付きましたよ。」
ドクオがそう言ってきた。
ドクオに立ちふさがった三人は、何時の間にか地面に倒れ付していた。
思ったよりもあっけなく片付いてしまった。
169 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 01:08:38 ID:UL6nXrh10
( ゚∀゚)「おいおい、痛ぇなwwwwww」
(;^ω^)「・・・・・!!!?」
だが、ジョルジュはまったく答えた様子が無く起き上がる。
( ゚∀゚)「踏み込みも早いし、真っ先にボスを狙おうとするその心意気も気に入った。けど、ちょっとフックには力が足りないかな。」
(;^ω^)「そんなwwww完全に顎に入ってたはずだおwwwwww」
( ゚∀゚)「パンチの一発や二発で倒れてたら、角煮歓楽街じゃ生きていけないぜ?」
どうやらジョルジュは相当タフさに自信があるようだ。
しっかりと顎を引っ掛けるように殴って脳みそを揺らしたはずなのに、ふらつくような素振りは見えない。
( ゚∀゚)「しかし、今の腑抜けた武運組にもお前等みたいなのが居るとはな。
いいぜ、おまえら。まるで二十を過ぎたばかりの熟れ始めたおっぱ(ry」
(;^ω^)「ちょwww助けてwwww変態だよ、この人wwww」
( ゚∀゚)「まあ、お遊びはここまでだ。」
そう言うと、ジョルジュは懐から二本のナイフを取り出す。
全長は五十センチ程。西洋物らしく、やたらと細身だ。
銀色の刀身が不気味に輝く。
170 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 01:09:15 ID:UL6nXrh10
(;^ω^)「ちょwww銃刀法違反wwwwww」
こんな場所では削除人達に見つかった時に言い訳が出来ないので銃器は使わないだろうと思っていたのだが、ナイフはおkらしい。
さすがにヤバいかな、と思ったとき、削除人達のパトカーの音が聞こえてきた。
騒ぎを聞きつけて誰かが通報したのだろう。
( ゚∀゚)「ち、興が削がれたな。てめぇとは何時かサシで決着つけたいもんだ。」
( ^ω^)「待って欲しいお。あんた、変態だけど悪い変態のようじゃないみたいだお。」
( ゚∀゚)「あ?あたりめーだボケ。こんなおっぱい紳士を捕まえといて何言ってんだ。」
( ^ω^).。oO(・・・・・おっぱい紳士?)
( ゚∀゚)「おっぱい好きに悪いヤツ居ない。コレ定説。」
( ^ω^)「ならなんでスレスト建設なんかに組みするんですか?連中が人身売買まがいの事やってるの知ってるでしょう!!!」
( ゚∀゚)「ああ、知ってるさ。女の誘拐にタコ部屋、臓器売買、人殺し。スレスト建設はヤバイ事は一通りてをつけてる。」
(;^ω^)「ならなんで!!!」
( ゚∀゚)「じゃあ聞くが、この家業に綺麗な組なんてあんのかよ?」
(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・」
171 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 01:09:42 ID:UL6nXrh10
( ゚∀゚)「スレストの連中には別に恩義は無い。その上、連中はどう
しようもない悪人だ。
この抗争の原因だって、スレスト建設が向こうの組長の孫娘を浚ったのが始まりだって言う。
筋だって通ってねえ。だが、どうしても成り上がりたいって意気込みはある。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・・・お」
( ゚∀゚)「あ?なんだって?」
(;^ω^)「それでも僕は筋を通し続けるお!!!!スレストはツンを、あんな子をあんな場所に浚ったんだお!!
周りに筋がとおってなくても、僕だけは筋を通し続けるお!!!」
( ゚∀゚)「・・・・・・・・・」
ジョルジュは暫く僕を見つめた。
僕は今の台詞を言ってから後悔した。
笑われるだろう。
あれではまるでガキだ。
武運組だって違法ファイルのうpや、違法金利の取立てで生計を立てていることは知っている。
スレスト建設ばかりを一方的に責められるほど、僕達は綺麗な集団ではない。
( ゚∀゚)「おもしれぇ・・・・。」
だがジョルジュは笑わなかった。
むしろその目に真剣な光を宿して、僕を品定めするかのように見ている。
173 名前: ◆bP2qfddi66
投稿日: 2005/12/29(木) 01:10:20 ID:UL6nXrh10
( ゚∀゚)「このジョルジュ様に啖呵切ったんだ。てめぇには最後まで
筋通してもらうぜ。」
そう言うと、ジョルジュはさっさとその場から立ち去った。
('A`)「兄貴、早く逃げましょう。俺等は角材で気絶してる相手の関節砕いてるんです、パクられたら言い訳できませんよ。」
見れば、さきほどから何かやっているな、とは思っていたが、ドクオが角材で気絶してるスレストの若衆連中の足の関節を砕いている。
(;^ω^)「それもそうだお、早く逃げるお。あと、角材持ってんのも関節砕いたのもお前だけだけどな。」
削除人達のパトカーのサイレンがすぐそこまで来ている。
僕達は急いでその場から逃げ出した。
今は削除人達がヤクザよりも恐かった。
変わったもんだ、と思った。
第四話 Come what way……・完
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