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第五話

292 名前: ◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:05:39.57 ID:OqcCytKs0

高速774号線。
そのVIPへと続く高速道路の上に、一大の車が止められていた。
黒いオープンカーだ。
運転席と助手席には一人ずつ、人影が座っている。

( ´_ゝ`)「なあ、弟者・・・。あそこなら俺達は燃え尽きる事ができるのか?」

助手席に座った男が言う。

( ´_ゝ`)「ここから見えるあの街、VIPなら・・・・・・。」

(´<_`  )「ああ・・・。大丈夫さ、兄者。」

運転席に座っている男が返事を返す。

( ´_ゝ`)「もう俺達には燃料が入っている。手入れもした。タイヤだって新品だ。あとは燃え尽きるまで走るだけだ。」

(´<_`  )「既にうちの組の連中はVIPに入ってる。あとは俺達が行くだけだ、兄者。」

( ´_ゝ`)「そうか。」

弟者と呼ばれた男がアクセルを踏み込む。
二人を乗せた車はさらに加速する。
 
294 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:07:13.28 ID:OqcCytKs0

( ´_ゝ`)「何時までも日和ったジジイどもに付き合って、ちんけな シノギの奪い合いをする気は無い。」

車はさらに加速。
すでに自足200kmは超えている。
やがてVIPの入境管理局が見えてくる。

( ´_ゝ`)「走り出した俺達はもう誰にも止められない。燃え尽きるまでな。」

瞬間、車が急停止した。
兄者と呼ばれていた男が助手席の手前に頭をぶつける。
ごん、という鈍い音がする。

(´<_`  )「すまんな兄者、渋滞のようだ。しばらく止まる事になる。」

( ´_ゝ`)「・・・・・・・・・・・・。」

兄者と呼ばれた男は動かない。
衝撃から数秒送れてエアバッグが作動し、助手席の空間を奪っていく。
兄者と呼ばれた男は動けない。

( ´_ゝ`)「・・・・・・・・・・・・。」

「VIP入境審査をお待ちの皆様、VIP道路公団の者です。現在、VIPでは危険物取締りキャンペーンを実施しており・・・」

機械的な声のアナウンスが流れた。
そして三時間後、VIPに二人の兄弟が入境した。
全てを手に入れ、全てを巻き込み、全てと共に燃え尽きるために。

297 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:08:10.10 ID:OqcCytKs0

僕達がスレスト建設の若衆に絡まれた日からさらに一週間がすぎた。
連中との抗争は全く終わる気配を見せない。
死者や怪我人では武運組の方が被害が圧倒的に大きいが、経済的にはスレスト建設が追い詰められている。
ここ最近、連中の行動がさらに過激になってきたのも、追い詰められた焦りからだろう。
というのも、どういうわけか一週間前の件以来、スレスト建設の突撃の要とでもいうべきジョルジュ長岡がまったく動かなくなったらしい。
なんどもスレスト建設の鉄砲玉が突撃してきているが、スレスト建設の鉄砲玉は
武運組からの離反時から居るような古参メンバーではなく

抗争のために急遽集めた若い連中だ。
血気盛んなだけで勝てるほど、この世界の抗争は甘くない。
結局、スレストの連中は威勢良く突撃していって、威勢良く玉砕される、という事を繰り返していた。

だが、僕にとってはそんな事は正直どうでもよかった。
三日前、僕にとってもっと重大な、そして喜ぶべき出来事が起きた。
ついにツンが、夢だった自分の喫茶店を持ったのだ。

298 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:09:06.27 ID:OqcCytKs0


( ^ω^)「おいすー^^」
ξ゚听)ξ「いらっしゃいませー!!って、なんだ内藤か。」
(;^ω^)「”なんだ”って・・・・テラヒドスwwwww」

落ち着いたふいんきの店だった。店内に配置されているアンティークはツンの趣味なのだろう。
落ち着いていても、どこか明るい、そんな印象のいい店だった。
つい半年前に聞かされたばかりのツンの夢が実現している。
その事に多少の驚きを感じながらも、ツンには頑張って欲しいと思った。

ξ゚听)ξ「お客様、ご注文は?」
(;^ω^)「ちょwwwwなんか他人行儀wwwwwwツン、怒ってるお?」
ξ#゚听)ξ「別に怒ってないわよ!!!!なんで私が開店したの知らせたのに
      三日経ってからやっと来たぐらいで怒らなきゃなんないのよ!!!!」

(;^ω^)「ちょwww無茶苦茶怒ってるwwwwwww」
(´・ω・`)「やあ、ブーン、ここはバーボンハウスじゃないが、ようこそ。自分からここで待ち合わせと言っておいて遅刻かい?」
(;^ω^)「ごめんだお。ちょっと時計が遅れてて。」

僕が店に入ると、先に来ていたショボが僕に声をかけた。
僕はそのままショボの居る席へと向かっていく。

299 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:13:03.82 ID:OqcCytKs0

本当はもっと早くツンの店に着たかったのだが、
スレストの若頭、ジョルジュと一悶着起こした僕に、スレストの連中が報復してくるのではないかと心配して、
組長から外を出歩かないように言われていた。
しかし、スレストの連中が追い詰められ、行動の箍が外れていくに従って、組長は一つの危険性に気づいた。
すなわち、組長の孫娘であつツンの店への危害。
まあ、一度誘拐されているのに、その危険性に気づかない組長も組長だが、
ツンの店は開店以来盛況で雑誌にもいくつか紹介されている。
スレストの連中もこの店の事は知っているだろう。
この店が襲撃されてもおかしくは無い。
それで僕にツンの警護の役が回ってきたというわけだ。

( ^ω^)「何頼もうか迷うお・・・。」

だがその時、メニューを取ろうと伸ばした僕の左腕をショボが掴んだ。
そして袖を軽くまくり、僕の腕時計を眺める。

300 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:13:29.41 ID:OqcCytKs0


(´・ω・`)「おかしいね、この時計は正確なのに、君は遅れていたと 言う。」
(;^ω^)「ええと・・・・それはさっきn」
(´・ω・`)「”それはさっき直したからだお”なんて言ったらぶち殺すぞ。直すような暇があったらさっさと来い。」
(;^ω^)「アウアウ」
(´・ω・`)「それともこの時計は24時間分遅れているのかな?」
(;^ω^)「・・・・・・・・・すいませんでしたお。二度寝してましたお。」
ξ゚听)ξ「お客様、ご注文が決まらないようなら一先ず後回しにさせてもらいますが?」

ツンはまだ拗ねているようだ。
妙にしぐさが他人行儀で、言葉の端々にトゲのような物を感じる。

( ^ω^)「ちょっと待って欲しいお、えっと、ピザあるかお?」
ξ゚听)ξ「ございません。食べたけりゃ左正面にピザハットがあるので、ご自分でどうぞ。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・。」

これは相当怒っているようだ。

301 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:19:18.68 ID:OqcCytKs0

(´・ω・`)「とりあえず、今日は何か俺に頼みたい用件があるんだ ろ?」
( ^ω^)「ああ、そうだったお。若頭から頼まれてたんだお。これを見て欲しいんだお。」

そういうと僕は机の上に油紙に包まれた拳銃を取り出して置いた。
回転式の拳銃ではなく、自動拳銃だ。
瞬間、ツンとショボの腕が跳ね上がり、僕の頭を叩いた。
ぴったりと息が合っていた。

ξ#゚听)ξ「バカ!!!!店の中でなんてモン出してんのよ!!!周りに見られたらどうするの!!!」
(;´・ω・`)「時々思うんだが、君の首の上についてるのは頭じゃなくて、頭に擬態させた何かなんじゃないかい?」
(;^ω^)「・・・ゴメンだお。」
ξ゚听)ξ「まあいいわ。今日のオススメを二人分持ってくるから。周りのお客さんが怖がらないように静かに話してね。」

そう言うとツンは厨房に行ってしまう。
僕を叩いて少しスッキリしたのか、態度が何時ものものに戻っていた。

302 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:19:43.19 ID:OqcCytKs0


(´・ω・`)「ふむ、懐かしいね。りんご社製、アップルP-22 か。」
( ^ω^)「知ってるのかお?」
(´・ω・`)「ああ、VIP防衛大学の軍との合同訓練で見たことがあるよ。もう十年、軍の正式装備に君臨し続けている傑作銃だよ。中で も、これはりんご社が軍との専属契約で作ってる軍仕様の特別モデルだ。ほら、ここにVIPArmyの刻印がある。」
( ^ω^)「銃の種類はよくわからないお。若頭に、銃に詳しい人が居ないか聞かれて、ショボの名前を言ったのは正解だったお。」
(´・ω・`)「この銃がどうかしたのかい?」
( ^ω^)「それが、スレスト建設の連中が持ってたんだお。」
(´・ω・`)「連中が?まあ、十年も軍に配備されつづけてる銃だからね。古くなれば横流しもされるだろう。」
(;^ω^)「それが連中、下っ端の弾除けまで全員が全員その銃を持ってるんだお・・・。」
(´・ω・`)「なるほど、それは妙だね。連中にそれだけの銃を軍から手に入れるだけのツテは無いはずだ。」
(;^ω^)「流石に往来でその銃を抜くような事は無いけど、事務所に突撃してきた時とかは躊躇なく銃を構えて来るんだお。」
(´・ω・`)「わかった。こっちから探ってみよう。武闘派の神山組としても、出所不明の銃の入手ルートがあると、何かと困る。」
( ^ω^)「よろしく頼むお。」

そんなことを話してるうちに、ツンがスパゲティーを運んできた。
焼き鮭とほうれんそう、それにきのこののったホワイトソースのスパゲティーだ。
おいしかったので僕は夢中になって食べた。

311 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 21:39:17.80 ID:OqcCytKs0

ξ゚ー゚)ξ「そんなに必死になってがっつかなくても、スパゲティーは 逃げないわよ。」

ツンがおかしそうに笑った。

( ^ω^)「でもこのスパゲティー、すごく美味しいんだお」
ξ゚ー゚)ξ「・・・馬鹿。」

ツンの機嫌は直っていた。
その後、ショボと近況について話し合っておるうちに、組から他の組員が送られてきた。
ツンの護衛の交代だった。
顔見知りだが、店では他人のふり。服装も一般人にしか見えない。
それもそうだ。こんな家業の人間が出入りしている事が分かれば、店の評判は落ちてしまう。

ξ゚听)ξ「内藤!!!明日も来なさいよ!!!」
( ^ω^)「大丈夫だお。しばらくはここに通い続ける事になると思うお。」
ξ゚听)ξ「べ、別にあんたに来て欲しいわけじゃなくて、誰か護衛が居ないと心配だから言ってるだけよ!!!」

ツンは僕の帰り際にそう言った。
それにしてもあのスパゲティーは美味しかった。
明日もあれを頼もう。
そう思いつつ、僕は家路に着いた。

323 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:01:29.50 ID:OqcCytKs0

それからはしばらくそんな、のんべんだらりとした気楽な一日が続いた。
相変わらずスレストとの抗争は続いていたのだが、スレストはもう完全に追い詰められている。
将棋で言う、”詰んでいる”状態だ。
そのうち、スレストも手打ちにするなり、他板へ逃亡するなりするだろう。
まあ、ここまでの騒ぎになって手打ちになるなんて、とても思えないのだけれど。

事態が急転したのは四日後だった。
夜に突然電話がかかってきた。
ツンからだ。

ξ゚听)ξ「内藤!!!!おじいちゃんが!!!!おじいちゃんが!!!!」
( ^ω^)「ツン、とりあえず落ち着くお。今どこだお?」
ξ゚听)ξ「私の店よ!!!おじいちゃんが撃たれたの!!!早く来てよ!!内藤!!!」
( ^ω^)「わかったお!!!今すぐ行くお!!!」

僕はそう言うと、急いで自分のコートを取り出して走り出す。
ツンは電話越しに泣いていた。

324 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:03:23.96 ID:OqcCytKs0

走りながらもドクオと組に電話をかけて、ツンの店で何か事件が起きた事 を伝える。
若頭の須藤さんには既に報告が言っていたらしく、須藤さんもこれから出かけるところだという。

僕がツンの店の前に着くと、丁度救急車が組長を収容しているところだった。

ξ゚听)ξ「内藤!!!おじいちゃんが!!!!」

僕はツンの付き添いで救急車に乗り込む。
救急車はあっという間に病院に着き、組長は手術室に運ばれていった。
僕はその間も、泣きじゃくるツンから話を聞く。
何時も強気なツンが、何故だかとても弱弱しく見えた。

ツンの話をまとめると、こうだ。
ついさっき、最後の客が帰って店を閉じようとしたところで、組長が来たのだそうだ。
迷惑にならないように、わざと閉店間際に、弾除けを一人だけ連れて私服で。
それが仇となった。

326 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:05:43.27 ID:OqcCytKs0

しばらく店の中で話し込んでいると、突然一人の男が入ってきたらしい。
ツンが「今日は既に閉店です」と対応しようとしたところ、男が懐から銃を取り出して構えた。
咄嗟に動いたのが組長で、ツンを押し退けると、自らが盾となってその身に銃撃を受けたのだそうだ。
次の瞬間には、発砲した男は組長と共に来ていた弾除けに押さえつけられて、裏口から組の事務所に運ばれたらしい。
通報を聞きつけてやってきた削除人達には、発砲した男は逃げた、と伝えたそうだが・・・。

一時間後、ツンは泣きつかれたのか、待合室のソファーで寝てしまった。
両親を失くしたと言うツンにとっては、組長はただ一人残った肉親なのだろう。
あそこまで取り乱して悲しむのも当然だ。
病院の看護師さんが、そんなツンを見て毛布をかけてあげていた。
そんな時、僕の携帯が鳴った。
看護師さんが僕をとがめるような視線で見る。
病院では携帯の電源を切ってください。仰るとおり。
僕は病院から出て、携帯に出る。
相手は須藤さんだった。

327 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:08:27.65 ID:OqcCytKs0

須藤「内藤、話がある。今から事務所に来れるか?」
( ^ω^)「大丈夫ですお。走って五分で行きますお。」

そうして事務所についた僕を待っていたのは、血まみれになった男と、それを取り囲む二十人程の組員だった。
僕の姿を見て、組員とドクオが挨拶をしてくる。
僕もまた、須藤さんに挨拶をする。

須藤「よう、内藤。コイツ、ゲロったぞ。スレスト建設の鉄砲玉だそうだ。」

おそらく、例の発砲した男だろう、アキレス腱を切られて、耳をそぎ落とされた男が泣きながら何事か呻いている。
そいつに近づこうとして一歩踏み出すと、何かを踏んでしまった。
足元を見てみると、切り取られた指が四本落ちていて、机の上にもハンカチに包まれた小指がのっている。
見れば、男の右手には人差し指と親指しか無い。

328 名前: ◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:09:23.00 ID:OqcCytKs0

須藤「三本が右手の、一本が左手の。机の上のは、うちの弾除けのだ。 親っさんを守れなかった責任だって言って、ついさっき自分から詰んで持ってきた。」
( ^ω^)「・・・・・・。これからスレストの連中のとこに突撃かけるんですかお?」
須藤「いや、無理だ。」
(;^ω^)「な・・・・・ッ!!!!!」
須藤「突撃厨取り締まり条例はお前も知っているだろう?スレストの事務所には60人近い鉄砲玉がつめてる。銃で武装した奴等が、だ。」
( ^ω^)「・・・・・・・・・。」
須藤「今から招集かけて得物揃えてるうちに、削除人どもの規制が厳しくなっちまう。突撃なんてしようものならあっという間にお縄だ。」
( ^ω^)「そんな・・・。」
('A`)「俺は嫌ですよ。そんなの。」
須藤「何?」
('A`)「削除人が怖いから、連中の数が多いから、組長やられてるのに手打ちにでもしようっていうんですか?」

ドクオのその台詞に組の中の若衆からも賛同の声が上がる。

須藤「馬鹿野郎!!!!じゃあてめぇ一人で銃持った六十人相手にできんのか!!!」

須藤さんが若衆達の暴走を押しとどめようと、声を張り上げる。
ドクオは押し黙ると、僕の方を見て事務所から出て行った。
何人かドクオを止めようとするが、須藤さんの「放っておけ」の一言でその場に留まる。

340 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:28:55.13 ID:OqcCytKs0

そこで、組の入り口から声が飛んでくる。

(´・ω・`)「一つ、訂正がある。」

ショボだった。
神山組と武運組の縄張りは隣り合っている。
ショボが組長が撃たれた事を知っていても不思議ではないが、何をしにこの事務所に来たのか。

(´・ω・`)「須藤の兄さんは六十人と言いましたが、今スレストの所に残ってるのは二十人程度です。」
須藤「どういうことだ、ショボ。」
(´・ω・`)「スレストのとこの若頭でジョルジュって奴居たでしょう。」
( ^ω^)「あの変体かお?あいつがどうかしたのかお?」
(´・ω・`)「あいつ、スレストを抜けましたよ。」
須藤「何!!!?」
(´・ω・`)「新しくスレストから四十二人の鉄砲玉引き連れて、新しく長岡組っての作って輪呂巣会の傘下に下りました。」
( ^ω^)「わざわざそれを伝えるためにここまで来てくれたのかお?」
(´・ω・`)「長岡組の連中が、『うちは武運組の連中とやりあうつもりは無いから』って、
      武運組とお隣さん同士の付き合いがある神山組に仲をとりもつように頼んできたんですよ。」

須藤「そうか。わざわざご苦労だったな、ショボ。」
(´・ω・`)「いえ、大した手間じゃありませんよ。」

342 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:29:33.37 ID:OqcCytKs0

ショボの話を聞いて、スレストの連中に突撃をかけようという声が高まっ ていく。
だが、須藤さんはそれを無理やり押さえ込んだ。

須藤「どっちにしろ、ほっといても二十人程度じゃ連中は何もできずに瓦解する。
   こっちから攻めて無駄に被害を出せるか!これは組長の意向なんだぞ!」


僕はそんな須藤さんの声を背に、事務所から静かに姿を消した。
決心は固まっていた。
ツンの泣き顔を見たあの時から。

事務所を出てすぐの道で、ドクオが立っているのが見えた。

('A`)「遅いですよ兄貴。何やってんですか。」
( ^ω^)「ドクオ・・・。」
('A`)「スレスト建設に突撃するんでしょう?事務所で兄貴の目見た時にわかりましたよ。」
( ^ω^)「・・・・・・・・・。」

そんな僕等に背後からさらに声がかかった。

343 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:30:45.79 ID:OqcCytKs0

(´・ω・`)「待てよ、お二人さん。威勢がいいのはいいが、スレスト 建設の連中がどこに居るのかわかってんのかい?」
( ^ω^)「ショボ・・・、おまえ・・・。」
('A`)「そりゃあスレスト建設の事務所でしょう。」
(´・ω・`)「甘いな。ジョルジュが言ってたよ。連中は抗争が始まってから事務所以外にもいくつかアジトを作ってるって話だ。」
( ^ω^)「アジト・・・・?」
(´・ω・`)「ほらよ、ジョルジュからだ。そのアジトの地図だそうだ。”筋通すんだろ?”だとさ。」
( ^ω^)「ショボ・・・・。ありがとうだお。」
(´・ω・`)「”ありがとう”?まだ突撃は終わってないのに何を言ってるんだい?」
( ^ω^)「・・・・・・手伝ってくれるのかお?」
(´・ω・`)「今更何言ってんだ。この世界での絆と情の大切さはおまえも知ってんだろ?」
( ^ω^)「・・・・・・・・・。」

僕は何も言わなかった。
ショボもドクオも何も言わなかった。
三人で黙って歩き出した。

345 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 22:31:53.38 ID:OqcCytKs0

途中、僕はコートの胸ポケットにずしりとした鉄の重みを感じた。
あの日、ショボに見せた拳銃だ。
この前ショボに返してもらったのだが、コートに入れっぱなしだった。

軽すぎる。
そう、軽い。こんな程度の重みでツンの笑顔を崩したというのだから、軽するだろう。
ふざけた話だ。

僕等は黙って歩き続けた。
この三人なら、相手が百人でも二百人でも勝てるような気がした。




第五話 pull my gunlock ・完


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