第六話

378 名前: ◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:43:01.95 ID:OqcCytKs0

ジョルジュの地図にあったスレスト建設のアジトは、町から離れた山奥に ひっそりと存在していた。
こんな場所に隠れて、こちらの組員ばかりに一方的に突撃してきていたのかと思うと、腹が立った。

(;^ω^)「しかし、ジョルジュのヤツ、なんで風俗の客寄せチラシの裏なんかに書くんだお・・・。」
('A`)「街中で広げるの恥ずかしいですよね。」
(´・ω・`)「しかもこの地図、街中のソープにだけ赤ペンでチェックいれてあるな。」
(;^ω^)「しかもなんか赤裸々なメモがwwwwwwきめぇwwwwww」
('A`)「『ここのあやかちゃんかわいい、オススメ。』『おっぱいおっぱい。』なんスかコレ?」

僕はスレスト建設のアジトの前で銃を取り出す。

(´・ω・`)「おまえ銃なんて持ってたのか。よこせ。」
(;^ω^)「ちょwwwおまwwwそんな強引なwwwww」
(´・ω・`)「冗談だ。だが素人がいきなり撃ってもそうそう命中するようなモンじゃない。銃を使う暇があったらぶん殴れ。」

そう言うと、ショボは懐から銃を取り出す。
こちらも自動式の拳銃だ。

379 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:43:23.76 ID:OqcCytKs0

(´・ω・`)「ちなみにこの拳銃は俺が最後に横流しした思い出の一品 でね。訓練用、自衛用にVIP防衛大学の士官コースの学生にしか貸与されない。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・。」
(´・ω・`)「横流しをした次の日の射撃訓練で、俺だけ銃が無くてね。ん?この話はもうしたかな?ともかく、あの倉庫から銃を盗み出す時 の中に”輝き”みたいな物を(ry」
(;^ω^)「わかったから早く行くお。」
(´・ω・`)「まあ待て。相手は20人以上。それも全員銃で武装しているんだ。闇雲に突撃してもいい結果にはならないだろう。」
( ^ω^)「何かいい作戦でもあるのかお?」
(´・ω・`)「ああ、これを見てくれ。」

ショボが地面の土の上に一つの大きな四角を書く。
四角の中に”スレストアジト”と書くと、その四角の側に三つの石を置く。

(´・ω・`)「この石を俺達だと思ってくれ。こっちから俺、ドクオ、内藤だ。」
(;^ω^)「ちょっと待つお、なんでショボの石だけそんなに大きくて、僕の石だけそんなに小さいんだお?」
(´・ω・`)「まず、内藤がおとりとしてアジトに入る。」
(;^ω^)「無視かお・・・。」
(´・ω・`)「内藤は適当に目だってから外に出てくる。そしておとりの内藤に釣られて敵が出てくる。」

380 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:44:00.91 ID:OqcCytKs0

そう言うと、ショボは僕の石を「スレストアジト」と書かれた四角の外で 止める。
そこでしばらく僕の石をぐらぐらと揺らした後、ポイと捨てる。

(´・ω・`)「あとは出て来た連中を俺が狙撃してやれば敵の数を減らす事が出来る。」
(;^ω^)「ちょwwwwおまwwwww今僕の石に何やったお?wwww」
(´・ω・`)「あとは俺とドクオで突入すれば十分片付けられるだろう。」
(;^ω^)「・・・僕は?」
(´・ω・`)「すまない、冗談だ。あれだけ広いんだ、どれだけこっそり侵入しても、下っ端を片付けているうちに上の方にも異変が伝わって しまうだろう。突撃してからはともかく迅速に動くように心がけよう。」
(;^ω^)「今までの説明は何だったんだおwwww地面に図まで書いてまるっきりの時間の無駄かおwww」
(´・ω・`)「さっきのはただの嫌がらせだから気にしないで欲しい。」
(;^ω^)「ちょwwwwwwww」

そんなこんなで僕達はスレストのアジトに近づいていった。

(´・ω・`)「裏口とか無いか?」
(;^ω^)「どっちみち、中の構造がよく分からないから、裏口から入ってもあんまり意味は無いんじゃ・・・。」

と、呟いた時だ、僕の頭の中に何故だかこの建物の裏口の位置が浮かんだ。

( ^ω^)「こっち側にこう回れば・・・。」
(´・ω・`)「・・・・・・!!!!!!」
('A`)「・・・・裏口、ですね。」
(´・ω・`)「すごいじゃないか、内藤。よく見つけたな。」

387 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:57:33.22 ID:OqcCytKs0

そこで、僕達は裏口の前に立っている人影を見つけた。
見張りだろうか、二人の三十代後半程の男と、五十歳くらいの初老の男だ。
初老の男の方はもっと歳がいっているかもしれないが、やけに筋肉質な体格のせいで正確な年齢はよく分からない。
その顔は、いかにもなヤクザだ。
体格からして、スレストの鉄砲玉だろう。

(´・ω・`)「ギリギリまで俺達に気付かれたくない。銃は使うな。」

ショボのその提案で、三人の中で最も足に自信のある僕が先行して奇襲をかけた。
ショボの指導のもと、草むらを三人で匍匐前進。多少遠回りをしつつも風下に回りこんでいく。

僕が草むらから飛び出すと、リーダー格らしい初老の男が懐に手をつっこむ。
おそらく銃を取り出そうとしているのだろう。
だが、させない。そんな暇は与えない。
なんとか自慢の脚力で相手の側まで近寄れたが、このままでは殴りこもうにもリーチが足らない。
もう一足ほど飛び込まなければならない。
なので、自然と拳よりも足がでた。
僕のつま先が初老の男の首に叩き込まれる。
初老の男が、その衝撃でゲホゲホと妙な呼吸をするが、構わずにそのまま壁に蹴りつける。

388 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:58:19.22 ID:OqcCytKs0

他の二人の男達が僕に銃を向けようとするが、遅い。
そのまま初老の男を壁に蹴りつけた足にさらに力を込め、軸足として男達の一人に蹴りを放つ。
蹴りは寸分たがわず男の握った拳銃をけり落とした。
そして初老の男があまりの激痛に口の端から泡を吹いて失神する。
残った一人が引き金を引こうとするが、ここで銃声など響かせるわけには行かない。
そこで、相手の銃を握る腕に石がぶつかった。
直径30cm程の石というより岩といった方がいいサイズの物だった。
どうやら後ろからドクオが投げたらしい。
最後の男の銃も地面に落ちる。
失神した初老の男を尻目に、二人の男がこちらに対して身構える、が、もう遅い。
ショボもドクオも追いついている。
二人の男が地面を舐めるまでに十秒とかからなかった。
だが、石を投げれば当然石は地面に落ちる。
おちる時に硬いものにぶつかれば音を立てるだろう。
ドクオの投げた石は裏口の中に入り、コンクリートの地面に大きな音と共にぶつかって行った。
すぐに警戒して「どうした?」という声が響いてくる。

(;^ω^)「ちょwwww確かに拳銃の音は防げたけどwwwww」
('A`)「カッとなってやった。反省はしている。」
(´・ω・`)「終わってしまった事は仕方ないさ。さっさと突撃をかけるぞ。」

389 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/29(木) 23:59:22.52 ID:OqcCytKs0

僕等は早足で建物に入った。
途中、スレストの組員と思われる奴が何人か様子を探りに出てきたが、ショボが撃ち抜いた。
ショボは両腕でしっかりと銃を構え、突然敵の組員が出てきても落ち着いて狙いをつけた。
たとえどれ程距離が離れていようと、スレストの組員は部屋から少し顔を出しただけで、次の瞬間には肩や腹を打ち抜かれている。
途中、すれ違う部屋の中も覗きながら、スレストの組員が残っているなら、ショボは容赦なく撃った。
弾が尽きれば、僕らが目を向くほどの速さで新しい銃弾を再装填していく。

(´・ω・`)「しかし内藤、こんなに走り回っているが、スレストの組長がどこに居るのか分かっているのかい?」
( ^ω^)「多分三階の社長室だお。」
(´・ω・`)「???社長室??ここの間取りを知っているのかい?」
( ^ω^)「どこかで見たことある気が・・・・・・、」

そこで僕はハッとなった。

(;゚ω゚)「あ!!!!ここ、僕が働いてたタコ部屋だお!!!!」
(´・ω・`)「・・・・・・・・・・・・」
('A`)「・・・・・・・・・・・・」

393 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 00:08:47.99 ID:1lsW10yG0

そう、ここは僕が働いていたタコ部屋だった。
正確には『タコ部屋で作らされていた建物』だが。
どうりで建物の間取りがすらすらと頭に浮かんでくるわけだ。
僕の働いていたタコ部屋はスレスト建設の連中のものだったが・・・。

(#`ω´)「ふざけんなお!!!自分達のアジト作るために僕をあんなタコ部屋に閉じ込めたのかお!!!」
(´・ω・`)「多分、作ったはいいけど、債権者やら何やらの事情で放っておかれてたのをアジトにしたんじゃないかな。」
('A`)「というか今まで気づかなかった兄貴って一体・・・・。」
(#`ω´)「どうりでここの組員連中に見覚えがあると思ったんだお。あの”現場監督”じゃねーかお!!!思い出したら怒りが沸いてきた お!!!」
(´・ω・`)「もちつけ。」
(#`ω´)「あ、コラ!!!ショボ、その窓は僕がはめ込んだヤツだお!!!割るんじゃないお!!!」
('A`)「・・・・・・・・・・・・。」
(´・ω・`)「もうだめかもしれんね、これは。」

そんなこんなで三階の社長室に飛び込んだ僕等を待っていたのは、一斉に扉に銃を向けた男達だった。
先頭で入っていった僕と、ドアをくぐろうとしたばかりのショボの動きが止まる。
広々とした社長室の奥、十メートル程奥に十人の男達が銃を構えていた。

394 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 00:09:12.01 ID:1lsW10yG0


スレスト組員A「内藤じゃないか、半年ぶりだな。」
(#`ω´)「おまえ!!!あの時町で僕を騙してここに連れてきたヤツ!!!!」
スレスト組員B「随分派手に暴れてくれたが、もう終わりだ。大人しく降参しろ。」

だが、自分達に向けられている銃口など意にも介さず、ショボが相手の一人に銃口を向ける。

(´・ω・`)「親玉はどいつだ?」
スレスト組員C「・・・・・・。」
スレスト組員D「あ?ふざけんな。てめー、自分の立場わかってんのか?」
(´・ω・`)「名乗り出ないなら仕方ない。おまえを道づれだ。」

ショボのその台詞に僕はピンと来て、あわてて銃を構える。

( ^ω^)「これで、道づれが二人に増えたわけだお。」
(´・ω・`)「馬鹿言え。俺ならあいつ等が一発撃つ間に三発は撃てらぁ。」

そのショボの台詞に反応して相手の顔に怯えが広がる。

395 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 00:09:50.75 ID:1lsW10yG0

(´・ω・`)「そら、どうすんだ?俺達二人を殺して、お前等の中から ランダムで四人死ぬか?」
スレスト組員E「お前等・・・・、本気か?」
(´・ω・`)「おいおいおいおい、敵さん連中、びびっちまってるぜ。」
( ^ω^)「人に拳銃向けといて今更”本気か?”は無いお。随分臆病な奴等だお。」
(´・ω・`)「なあに、詰まらないくじ引きだと思えばいい。当たりクジは俺達の銃弾。当たった四人はご愁傷様。」

ショボの魂胆はわかっている。おそらくこうやって膠着状態をつくりだして時間を稼ぎ、相手に隙を作らせようというのだろう。
時間を稼いでるうちに、何らかの突破口を見出すかもしれない。

スレスト組員F「お前等、そんな脅しで俺達がひるむとでも思ってんのか?」
(´・ω・`)「あっそ。じゃあいいよ。」

そう言うとあっさりショボは引き金を引いた。

(;^ω^)「ちょwwww」

396 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 00:10:36.41 ID:1lsW10yG0

敵の内の一人が肩を撃たれて転げまわる。
それを皮切りに一斉に敵が打ち返してきた。
ある者は机をバリケードにして手だけ出して、あるものは頭を抑えて姿勢を低くしながら、
連続して銃声と硝煙が巻き荒れる。
僕も焦って引き金を引きまくる。
撃たれる・・・・!!!
だが、撃たれる前にできるだけ道連れを増やしてやる!!!
そう思い、自分に遅い来る激痛を覚悟しながら撃ったのだが、僕が予想していたような激痛はいっこうにやってこなかった。
やがて、銃声と硝煙が止む。

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・?」

僕には傷一つ無い。
対して、敵は半分の五人が体から血を流して倒れている。

(´・ω・`)「言ったろう。『素人がいきなり撃ってもそうそう命中するようなモンじゃない』ってな。」
( ^ω^)「すごいお!!僕初めてでも弾が人に当たったお!!」
(´・ω・`)「馬鹿。今倒れてんのは全部俺が撃ったんだよ。」

402 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 00:14:59.81 ID:1lsW10yG0

―――――――――――――

残ったスレストの組員で残った連中が決死の覚悟でこちらに向かって殴りかかってくる。
おそらくもう残弾が無いのだろう。

(´・ω・`)「内藤、おまえの銃よこせ。俺のはさっきので全弾使い切った。」
(;^ω^)「ちょwww僕のももう全弾使い切ってるおwwwww」
(;´・ω・)「な、おまえ、なんでお前まで弾全部使ってんだよ。脅かして相手に全弾撃たせる作戦だったのに。」
(;^ω^)「ァゥァゥ・・・・ごめんだお。」

ショボが部屋の中に入ってくると、ショボの後ろに控えていたドクオも部屋に入ってきた。
妙に嬉しそうな顔をしている。

そして乱闘が始まった。

結果から言うと、乱闘は二十分ほど続いた。
いや、”乱闘”なんて呼べるようなものじゃなかった。
久々の乱闘にエキサイトしたドクオが、社長室の中にあったものをともかく投げる、投げる、投げる。
来客用のソファーを振り回したり、デスクを投げ付けたり、椅子で殴りつけたり、
ともかくドクオの独壇場だった。
部屋の中で形を保っている物を憎んでいるかのように、徹底的に壊しつくした。
ドクオの拳は相手を殴りすぎてパンパンに腫れているのだが、全く痛そうなそぶりは見せない。
僕達は巻き添いを食うのが嫌で、社長室の外でずっと待っていた。
最初の五分が過ぎたあたりで泣き声が聞こえてきた。
十分後には命乞いが聞こえてきた。
終わりの方になると悲鳴どころか、うめき声すら聞こえず、ひたすら何かを殴り続けるような音のみが響いてきた。

(;^ω^)「神様、彼等の命乞いが聞こえても、聞こえないフリをしているブーンは悪い子ですお。許して下さいお。」
(;´・ω・)「・・・・・・・・・・・・。」

二十分後、ドクオが晴れ晴れした顔で社長室から出て来た。
社長室は”一人火薬庫”によって徹底的に蹂躙されていた。
倒れているスレスト建設の構成員は全員が、ショボに肩や腹を打たれていた連中まで手足を奇妙な方向に折り曲げられていた。
ポップアートみたいで少しシュールだな、と思った。

434 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:07:23.15 ID:1lsW10yG0

('A`*)「楽しかった。」
(;´・ω・)「・・・・・・・・・・・・。」
(;^ω^)「でも、これじゃあ結局どれがスレスト建設の親玉かわからないお・・・・。」
('A`)「この中には居ないんじゃないですかね。」
( ^ω^)「????」
('A`)「だって、スレストの社長の岸木はうちの組長の叔父ですよ。ここに倒れてるのはどう見ても30言ってない若衆達じゃないです か。」
(;^ω^)「もしかして、逃げられた・・・?」
(´・ω・`)「コイツ等に聞いてみようにも、気絶してるしなあ・・・。」
(;^ω^)「これだけ痛めつけられてもまだ生きてるってのが不思議だお・・・。」
('A`)「まあ、死なないように加減しましたからね。俺にだって優しさくらいありますよ。」
(;^ω^)「ちょwwwそれなんて地獄?wwwwあれだけ痛めつけられ続けても死ねずに痛みを味わい続けるのかおwwww」
('A`)「まあ、ちょっとコイツ等に聞いてみましょう。おい、コラ、起きろ。聞きたい事がある。」

ドクオは容赦なく地面に倒れ付すスレスト建設の構成員の顔を蹴り飛ばす。
相手の首が折れそうな勢いだ。
見ていて洒落にならないのでドクオを止めた。
僕が落とし前をつけさせてやりたいのはスレスト建設の社長だけだ。
こんな下っ端のザコどもではない。

437 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:07:56.11 ID:1lsW10yG0

その後も建物の中を必死に捜索したが、スレスト建設の社長は見つからず じまいだった。
結局、社長室に辿り着くまでにショボに撃たれた構成員から、『社長はあんたらが襲撃してくるほんの少し前に逃げていった。』という証言を得 た。

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・。」
(´・ω・`)「その、なんだ・・・残念だったな。逃げられたようで・・・・。」
( ^ω^)「もういいお。これでスレスト建設は活動不能だし、組長も天国で喜んでるお。」
('A`)「組長まだ死んでませんってば。手術中ですってば。」

僕らはそのまま町へむかって山道を下っていった。
途中、僕とツンが落ちた滝なんかが見つかって、懐かしい気持ちになった。
まだ半年前の事だというのに、もう何年も昔のことのように感じてしまった。

ショボとは町で別れた。
なんでも、これからジョルジュと会って来て、武運組と長岡組の折衝役を務めなければならないらしい。
鉄砲玉の上にそんな事までやらされて大変だな、と思った。

438 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:08:54.99 ID:1lsW10yG0

組に帰ってみれば、僕がスレスト建設に突撃していた事は組全体に知れ 渡っていた。
組長の手術も無事に終わっていた。
歳に似合わない健康な体だとかで、命に別状はないという事だ。
若頭の須藤さんが、「全くお前等は・・・。」と言いつつも笑っていたのを覚えている。
結局、須藤さんから説教を食らったが・・・。

しかし、本当に結局のところ今回の突撃はなんだったのだろう?
組長が撃たれた。ツンは泣いた。敵の社長には逃げられた。
僕は感情に任せて突っ走って、骨折り損のくたびれもうけだったのでは無いのだろうか?
僕は筋を通す事が出来たのだろうか?
僕はこの件で一体何を得たのか。

答えは出ない。

分かっているのは、僕がこの件で貰った物は、須藤さんからの説教と、ツンからのビンタだけだったという事。

組長の手術の結果を見に病院に行った僕に、ツンは顔を見るなり強烈な張り手を食らわした。
腰の入った、いい一撃だった。

439 名前:
◆bP2qfddi66 投稿日: 2005/12/30(金) 01:09:24.74 ID:1lsW10yG0

ξ゚听)ξ「どこ行ってたのよ!!!!!」
(;^ω^)「ごめんお・・・、色々あったんだお・・・。」
ξ゚听)ξ「起きたら内藤も居ないし、御爺ちゃんはまだ手術中だったし・・・・。」
(;^ω^)「・・・・・・・・・・・・。」
ξ゚听)ξ「・・・・・・・馬鹿。」

ツンの目には涙が浮かんでいた。
僕は考えた。
一生懸命考えた。
ツンの涙を止める方法を。
ツンの笑顔を見る方法を。
ともかく今は、ツンの笑っている顔を見たくて仕方がなかった。


こんなのも悪くない。

考えながらも僕はそう思ったのだった。




第六話 タコ部屋の中のコンバットゾーン・完


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